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用語解説

CJ88の決済が止まるとき

月末のCJ88でエラーが出る、または何も決済されない。エラー文だけを見て直すと、次の段階でまた止まります。WBS要素の原価が決済先へ届くまでの流れに沿って、確認する順番を整理しました。


プロジェクトに集まった原価は、月末にCJ88(プロジェクトを決済するトランザクション)で、原価センタや固定資産などの決済先へ振り替えます。このCJ88は、月末になってエラーで止まったり、エラーは出ないのに何も決済されなかったりすることがあります。

この記事では、CJ88が止まったときにどこから確かめるかを、よくある原因の順にまとめます。ポイントは、エラー文に書かれた箇所だけを直さないことです。決済は何段階かの処理を順に通るので、1か所を直すと、次の段階でまた止まることがよくあります。

CJ88は5つの段階を順に通る

決済が止まる原因を探すには、まずCJ88の中で何が起きているかを知っておく必要があります。下の図は、社内システム改修のWBS要素にたまった100万円が、情報システム部の原価センタへ決済されるまでの流れです。

CJ88は5つの段階を通り、どの段階でも止まることがある

1WBS要素に実績原価がたまる

WBS要素 P-1001-01社内システム改修外注費80万円+社内作業20万円=100万円

確認1原価がない、または決済済みだと決済するものがない

2決済ルールで行き先を決める

原価センタ 4100(情報システム部)へ100%

確認2ルールがないとここで止まる

3ステータスが決済を許すか

決済できるREL(リリース)TECO(技術的完了)
決済できないCRTD(作成済)CLSD(クローズ)

確認3ユーザーステータスで止めていることもある

4配分構造で、決済に使う原価要素を決める

外注費社内作業費
決済用の原価要素

確認5どこにも割り当てられていない原価要素があるとKD503で止まる

5決済先へ転記する

WBS要素 −100万円→ 原価センタ 4100 +100万円

確認4決済先がロック中・有効期間外だと受け取れない

図の「確認1〜5」は、この記事で確認する順番です。確認4と5が図の順番と逆なのは、配分構造が設定の領域で、画面から見て確かめられる確認4を先にするためです。

エラー文は、止まった段階のことしか教えてくれません。たとえば決済ルールがないエラーを直して流し直すと、次はステータスで止まり、それを直すと配分構造で止まる、ということが起きます。月末の限られた時間で何度も流し直さないように、最初に流れ全体を順に確かめるのが近道です。

最初にテスト実行でメッセージを確かめる

CJ88には、実際に転記せずに結果だけを確かめるテスト実行があります。原因を探すときは、テスト実行で流して、メッセージの一覧を開きます。どのWBS要素が、どの段階で止まっているかが分かります。

多数のプロジェクトをまとめて決済するときは、CJ8G(一括で決済するトランザクション)を使います。原因を切り分けるときは、止まっているWBS要素だけをCJ88で個別に流すと、メッセージが絞られて読みやすくなります。

確認1 決済する原価があるか

エラーは出ないのに何も決済されない場合、まず疑うのは「決済する原価がそもそもない」ことです。CJI3(プロジェクトの実績明細を照会するトランザクション)で、対象のWBS要素に原価が計上されているかを見ます。

  • 原価が1件も計上されていない。請求書や作業時間が、別のWBS要素や原価センタに計上されていることがある
  • すでに決済済み。CJ88は決済されていない残りの金額だけを振り替えるので、同じ期間に2回目を流しても何も起きない
  • 原価の計上日が、決済する期間より後になっている。決済する期間を指定して流すので、翌月の日付で計上された原価はその月の決済には入らない

確認2 決済ルールがあるか

原価があるのに止まる場合は、決済ルール(原価をどこへ、何%振り替えるかの指定)を見ます。CJ20N(プロジェクトを登録・変更するトランザクション)で対象のWBS要素を開き、決済ルールの画面で、決済先と配分の割合が入っているかを確かめます。

見落としやすいのは、階層の下のWBS要素です。決済ルールは、原価を持つWBS要素ごとに必要です。上位のWBS要素にだけルールを入れていても、原価が計上されているのが下位のWBS要素なら、下位のほうで止まります。下位の原価をいったん上位へ集めてから決済する設計なら、下位のルールの決済先に上位のWBS要素を指定します。

確認3 ステータスが決済を許しているか

WBS要素のステータスは、そのWBS要素に対してどの処理をしてよいかを決めています。決済もその1つです。

システムステータスと決済
ステータス状態決済
作成済(CRTD)作っただけで、実行前できない
リリース(REL)実行中。原価を計上できるできる
技術的完了(TECO)作業としては終わったできる
クローズ(CLSD)会計の面でも終わったできない

よくあるのは、上位のWBS要素はリリースしたのに、あとから追加した下位のWBS要素が作成済のまま残っているケースです。もう1つは、決済が終わる前にクローズにしてしまったケースです。クローズは、決済を終えて残高がゼロになってから設定するものです。

システムステータスに問題がなくても、会社で独自に作ったユーザーステータスで決済を止めていることがあります。CJ20Nのステータスの詳細画面では、そのWBS要素でいま許可されている処理(業務取引)の一覧を見られるので、決済が許可されているかをそこで確かめます。

確認4 決済先が受け取れる状態か

決済ルールとステータスに問題がなければ、次は受け取る側を見ます。決済ルールに入っている決済先が、決済する日の時点で原価を受け取れる状態かを確かめます。

決済先ごとの確認点
決済先確かめること見る画面
原価センタ有効期間が切れていないか。実績の2次原価(決済や配賦で振り替えられる原価)がロックされていないかKS03(原価センタの照会)
固定資産・建設仮勘定資産マスタが決済する日の時点で使える状態か。除却済みやロックされた資産になっていないかAS03(資産マスタの照会)
他のWBS要素そのWBS要素自身のステータスが、原価を受け取れる状態かCJ20N

組織変更で原価センタを新しく作り直した会社では、古い原価センタが決済ルールに残ったまま、有効期間だけが切れていることがあります。決済ルールの決済先が、いまも使われている組織かを業務側に確かめます。

確認5 決済プロファイルと配分構造

ここまで確かめても止まる場合は、設定を疑います。決済プロファイル(どの決済先を許可するかなどを決める設定、OKO7)と、その中で指定する配分構造(どの原価要素をどの決済用の原価要素にまとめるかの設定、OKO6)です。

この段階で起きやすいのが、エラーKD503です。WBS要素に計上された原価の原価要素が、配分構造のどこにも割り当てられていないときに出ます。たとえば、新しい外注費の勘定を追加して、プロジェクトに計上できるようにしたのに、配分構造には追加していなかった、という場合です。図の④で、行き先の決まっていない原価要素が残っている状態です。

ほかに、期間が閉じていないか

5つの確認とは別に、期間のロックで止まることもあります。COの期間ロック(OKP1、期間ごとに実績の決済などの処理を止める設定)で決済が締められている、またはFIの転記期間(OB52)が閉じている場合です。決算の手順で先に期間を閉じてしまった場合に起きるので、決算のスケジュールと合わせて確かめます。

メッセージから確認先を探す早見表

起きていることまず見るところ確認
エラーは出ないが、何も決済されないCJI3で原価があるか、すでに決済済みか確認1
決済ルールがないというメッセージCJ20Nで、原価を持つWBS要素の決済ルール確認2
ステータスについてのメッセージCJ20Nで、システムステータスとユーザーステータス確認3
原価センタや資産についてのメッセージKS03・AS03で、決済先の有効期間とロック確認4
KD503(配分構造が不完全)OKO6で、原価要素が配分構造に割り当てられているか確認5
期間についてのメッセージOKP1・OB52で、期間が開いているかほかに

新人のころの自分に伝えたいこと

新人のころの自分に一言だけ言うなら、「エラー文だけでなく、決済の流れ全体を見る」です。エラー文は、止まった1か所のことしか書いていません。原価がたまり、ルールで行き先が決まり、ステータスが許し、配分構造で原価要素が決まり、決済先が受け取る。この流れを頭に置いておくと、1つ直したあとにどこでまた止まりそうかが見えるようになります。

この記事に出てきた名前

名前種類何のためのもの
CJ88トランザクションプロジェクトやWBS要素を個別に決済する。テスト実行ができる
CJ8Gトランザクション多数のプロジェクトをまとめて決済する
CJ20NトランザクションプロジェクトとWBS要素を登録・変更する。決済ルールやステータスもここで見る
CJI3トランザクションプロジェクトの実績原価を明細で照会する
CJB1 / CJB2トランザクション決済ルールを自動で作る。CJB1はまとめて、CJB2は個別に処理する
KS03トランザクション原価センタのマスタを照会する。有効期間やロックの設定を見る
AS03トランザクション固定資産のマスタを照会する
OKO7設定画面決済プロファイルを決める。許可する決済先の種類や、使う配分構造を指定する
OKO6設定画面配分構造を決める。どの原価要素を、どの決済用の原価要素にまとめるかを指定する
KD503エラーメッセージ計上された原価の原価要素が、配分構造に割り当てられていないときに出る
OKP1設定画面COの期間ロック。期間ごとに、決済などの処理を止める
OB52設定画面FIの転記期間を開け閉めする

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