SAPの導入プロジェクトには、コンサル会社の正社員だけでなく、フリーランスや業務委託のコンサルも多く参加しています。この記事では、プロジェクトで一緒に働いた経験と、契約単価を把握できる立場にいたときの数字をもとに、SAPフリーランスの役割と単価の目安をまとめます。
プロジェクトの中での役割は正社員とほぼ同じ
フリーランスのSAPコンサルは、プロジェクトの一員として、正社員のコンサルと同じ仕事をします。担当するのは、要件定義、設計、テスト、課題対応など、工程ごとの作業そのものです。
違いが出るのは、期待のされ方です。経験の長い人は、特定モジュールの専門家やチームリーダーとして参画することが多く、入った初日から即戦力として動くことが前提になります。正社員のように育成を前提にした配置はほとんどありません。
契約単価の目安
以前関わった大規模プロジェクトでは、月額の契約単価は次のような水準でした。プロジェクトの規模、求められるスキル、経験によって金額は変わるため、1つの目安として見てください。
| 役割 | 月額の契約単価 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| リーダークラス | 300万円前後 | モジュールやチームの取りまとめ、課題の判断、お客様との調整 |
| SAPコンサル(メンバー) | 200万円前後 | 担当領域の要件定義・設計・設定・テスト |
| 開発者 | 120万円前後 | アドオン(追加開発)の設計・実装・単体テスト |
契約単価と手取りに差が出る理由
契約単価から本人の手取りまでには、いくつかの段階で金額が減ります。独立を考えるときは、単価の高さだけでなく、次の3つを見ておく必要があります。
- 商流(間に入る会社の数):お客様 → 元請けのコンサル会社やSIer → エージェント → 本人、のように間に入る会社が増えるほど、各社のマージンが引かれる。同じ案件でも、どの経路で入るかで本人の受け取りが変わる
- 稼働の切れ目:案件と案件の間が空けば、その月の収入はゼロになる。正社員と違い、待機中の給与はない
- 税金と社会保険:国民健康保険・国民年金・所得税・住民税を自分で払う。消費税は、2年前の売上が1,000万円を超えていれば納税義務がある。インボイスの登録をすると売上に関係なく納税することになり、取引先から登録を求められることも多い
たとえば仮に、本人の受け取りが月150万円で、案件の切れ目が年に1か月あったとすると、年間の売上は1,650万円です。ここから税金・社会保険・経費を自分で払うため、会社員の額面年収と単純には比べられません。比べるときは、会社が負担していた社会保険料や、有給休暇・賞与の分も含めて考えます。
単価が上がりやすい人
SAPの領域は、専門性と経験によって比較的高い単価が設定されることがあります。単価に差がつきやすいのは、次のような経験です。
- 要件定義から稼働まで、上流から一通りの工程を経験している
- 1つのモジュールを深く知っている(FIなら決算や税、COなら原価計算など)うえで、隣のモジュールとの連携も説明できる
- チームリーダーとして、課題の判断やお客様との調整を任された経験がある
- S/4HANAへの移行プロジェクトの経験がある
案件の探し方
案件は、前のプロジェクトの人脈から声がかかる場合と、エージェントから紹介を受ける場合があります。独立したばかりで人脈が少ないうちは、SAP案件を扱うエージェントに登録して、単価の相場と案件の条件を確かめるところから始めるのが現実的です。
まだ独立の前で、正社員としてコンサルの経験を積み直したい場合は、ファームへの転職も選択肢になります。
この記事に出てきた名前
| 名前 | 種類 | 何のためのもの |
|---|---|---|
| 契約単価 | 契約の用語 | プロジェクトで、1人が1か月働く対価として決められた金額 |
| 商流 | 取引の用語 | お客様から本人まで、契約がどの会社を経由しているかの流れ |
| アドオン | SAPの開発 | SAPの標準機能にない処理を、追加で開発したプログラム |
| インボイス | 税の制度 | 消費税の仕入税額控除に必要な請求書の制度。発行するには登録が必要 |