RICEFW(リセフダブリュー)とは、SAPの標準機能では足りない部分を作り足す「アドオン開発」を、種類ごとに6つに分けたときの頭文字です。SAP導入プロジェクトでは、開発の一覧表や見積もりをこの分類で整理するのが一般的です。
現場によっては RICEF、WRICEF、FRICEW などとも呼ばれますが、指しているものは同じです(W のワークフローを含めるかどうか、並べる順番が違うだけです)。
6つの分類
| 文字 | 英語 | 日本語 | 開発の例 |
|---|---|---|---|
| R | Reports | レポート(帳票出力を除く照会・一覧) | 独自の売上集計表、滞留在庫の一覧 |
| I | Interfaces | インターフェース(外部システム連携) | 倉庫管理システムへの出荷指示、銀行への支払データ |
| C | Conversions | データ移行(コンバージョン) | 旧システムの得意先・品目・残高をSAPへ移す |
| E | Enhancements | 機能拡張(標準処理への追加) | 受注登録時の独自チェック、項目の自動設定 |
| F | Forms | 帳票(印刷・PDF出力) | 請求書、納品書、発注書 |
| W | Workflows | ワークフロー(承認の流れ) | 発注や支払の多段階承認 |
分類ごとに使う主な技術
分類ごとに、使う技術や作り方がほぼ決まっています。見積もりや担当者の割り振りをしやすいのが、この分類が使われ続けている理由です。
| 分類 | 主な技術 |
|---|---|
| レポート | ABAP の ALV、CDS ビュー、Fiori アプリ |
| インターフェース | IDoc、BAPI、RFC、OData、SAP Integration Suite などの連携基盤 |
| データ移行 | SAP S/4HANA 移行コックピット、LSMW(旧来の手法)、BAPI を使う独自プログラム |
| 機能拡張 | BAdI、ユーザーイグジット、拡張ポイント |
| 帳票 | SAPscript、SAP Smart Forms、SAP Interactive Forms by Adobe |
| ワークフロー | SAP Business Workflow、S/4HANA の柔軟なワークフロー |
プロジェクトでの進め方
アドオン開発は、一般的に次の流れで進みます。RICEFW の一覧は、この流れ全体の管理表として使われます。
- フィット&ギャップ分析:業務要件と標準機能の差(ギャップ)を洗い出す
- 開発一覧の作成:ギャップを埋める開発を RICEFW に分類し、ID を振る
- 機能設計書(FS):業務コンサルタントが「何を実現するか」を書く
- 技術設計書(TS):開発者が「どう作るか」を書く
- 開発・単体テスト
- 結合テスト・移送:テスト環境から本番環境へ移送する
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 開発ID | SD-F-001 |
| 分類 | F(帳票) |
| 名称 | 請求書 |
| モジュール | SD |
| 難易度 | 中 |
| 工数(人日) | 10 |
| 状況 | 技術設計中 |
S/4HANA での考え方:アドオンを減らす
アドオンが多いほど、バージョンアップのたびに影響調査や改修が必要になります。そのため S/4HANA、特にクラウド版では、標準機能に業務を合わせ、アドオンを最小限にする「クリーンコア」という考え方が重視されています。
| 拡張の方法 | 内容 |
|---|---|
| キーユーザー拡張 | 画面から項目の追加や簡単なロジックの追加を行う。プログラム改修が少ない |
| 開発者による拡張(オンスタック) | 公開された API や拡張ポイントだけを使って ABAP で作る |
| サイド・バイ・サイド拡張 | SAP BTP など、基幹システムの外で作り、API で連携する |
RICEFW の分類そのものは S/4HANA でも使われますが、「どの方法で作るか」を分類ごとに検討する必要が出てきました。
まとめ
- RICEFW は、アドオン開発をレポート・インターフェース・データ移行・機能拡張・帳票・ワークフローに分ける頭文字
- 分類ごとに使う技術が決まっているので、見積もりや担当の割り振りに使われる
- 基幹システム内の開発は主に ABAP、画面や周辺アプリは JavaScript・Java なども使う
- S/4HANA ではクリーンコアの考え方から、アドオンを減らし、作り方も慎重に選ぶ