SAPの会計伝票には、日付の項目がいくつもあります。なかでも混同しやすいのが「転記日付」と「伝票日付」です。結論から言うと、次のように覚えておけば実務で困りません。
| 日付 | 英語 | 意味 | 入力するのは |
|---|---|---|---|
| 転記日付 | Posting Date | 会計帳簿に載せる日付。どの会計期間の数字になるかが決まる | 利用者(初期値は当日) |
| 伝票日付 | Document Date | 元になった書類の日付。請求書に書かれた日付など | 利用者 |
| 入力日付 | Entry Date | SAPに伝票を登録した日付 | システムが自動設定(変更不可) |
「転記日」「計上日」と呼ぶ現場もありますが、SAPの画面上の項目名は「転記日付」です。
具体例で見る3つの日付
3月28日付の請求書が仕入先から届き、経理担当者が4月2日にSAPへ入力するケースを考えます。この請求書の費用は3月度に計上したいとします。
| 日付 | 入る値 | 理由 |
|---|---|---|
| 伝票日付 | 3月28日 | 請求書に書かれた日付だから |
| 転記日付 | 3月31日 | 3月度の費用として計上したいから |
| 入力日付 | 4月2日 | 実際にSAPへ入力した日だから |
このように、3つの日付がすべて違うことは珍しくありません。月末の締め作業では、むしろよくある状況です。
転記日付が決めるもの
転記日付は、会計上いちばん重要な日付です。次のようなことが転記日付で決まります。
- 会計年度と会計期間(何月度の数字になるか)
- 勘定残高(総勘定元帳・得意先・仕入先)が更新される日
- 外貨の換算に使う為替レートの日付(換算日付の初期値は転記日付)
- 転記してよい期間かどうかのチェック(転記期間の開閉:OB52)
伝票日付が使われる場面
伝票日付は、元の書類と照合するための日付です。会計期間には影響しませんが、次の場面で使われます。
- 請求書や領収書など、証憑との突き合わせ
- 支払基準日の初期値(支払条件の設定で、伝票日付・転記日付・入力日付のどれを使うかを選べる)
- 伝票の検索やレポートでの絞り込み
支払基準日を伝票日付から決める設定にしている場合、伝票日付を誤ると支払期日もずれます。「会計期間に関係ないから適当でよい」わけではない点に注意してください。
入力日付の役割
入力日付は、伝票を登録した時点でシステムが自動的に記録します。利用者は変更できません。いつ誰が伝票を登録したかを後から確認するための、監査証跡として使われます。
伝票ヘッダを表示すると、入力日付と一緒に入力時刻や入力者も確認できます。テーブルでは、会計伝票ヘッダ(BKPF)の項目として保持されています。
| 項目名 | 意味 |
|---|---|
| BUDAT | 転記日付 |
| BLDAT | 伝票日付 |
| CPUDT | 入力日付 |
| WWERT | 換算日付 |
他のモジュールから来る伝票の場合
会計伝票は、SDやMMの処理から自動的に作られることも多くあります。その場合、転記日付は元の処理の日付から引き継がれます。
| 元の処理 | 会計伝票の転記日付になるもの |
|---|---|
| 入庫・出庫(MIGO) | 入出庫伝票の転記日付 |
| 請求書照合(MIRO) | 画面で入力した転記日付(請求書の日付は伝票日付に入る) |
| 請求伝票(VF01) | 請求日付 |
| 出荷の出庫転記(VL02N) | 実際の出庫日付 |
「転記済み」とは
「転記済み」とは、伝票が会計帳簿に正式に記録され、勘定残高に反映された状態のことです。これに対して、入力を途中で保存しただけで、まだ残高に反映されていない状態を「保留」と呼びます。
| 状態 | 勘定残高への反映 | 後から変更できる範囲 |
|---|---|---|
| 保留伝票 | されない | ほぼすべての項目を変更できる |
| 転記済み伝票 | される | 金額や勘定科目は変更できない。誤りは取消(反対仕訳)で直す |
転記済みの伝票で金額や転記日付を間違えた場合は、FB08 などで取消伝票を作り、正しい伝票を登録し直します。取消伝票の転記日付は、元の伝票と同じ日付にすることも、取消を行う期間の日付にすることもできます。
まとめ
- 転記日付:帳簿に載せる日付。会計期間・残高・換算日付を決める最重要の日付
- 伝票日付:請求書など元の書類の日付。証憑の照合や支払基準日に使われる
- 入力日付:SAPに登録した日付。システムが自動設定し、変更できない
- 「転記済み」は帳簿に反映された状態。誤りは変更ではなく取消で直す