セクション 5 / 10

支払条件と支払基準日

支払条件が定義する支払期限と現金割引、その起算日となる支払基準日の決まり方、支払ブロックの使いどころを解説します。

目次を開く

支払条件(Payment Terms)は、請求書の代金をいつまでに支払うか、早期に支払った場合に割引があるかを定義するマスタ設定です。4桁のコードで管理され、仕入先マスタや得意先マスタに登録しておくと、伝票入力時に自動で提案されます。

支払条件が定義する2つの要素

支払条件は、大きく分けて「正味支払期日」と「現金割引条件」の2つを定義します。現金割引は2段階まで設定でき、早く支払うほど割引率が高くなるという構成が一般的です。

支払条件の設定例
条件第1割引第2割引正味期限
30日以内全額30日
2/10 net 3010日以内 2%30日
3/10, 1/20, net 3010日以内 3%20日以内 1%30日
月末締め翌月末払い翌月末

日本の商習慣で多い「月末締め翌月末払い」のような条件も、支払条件で表現できます。この場合は、固定日付や暦月末を指定する設定を使います。

支払基準日(Baseline Date)

支払条件は「何日以内」を定義しますが、その起算日がなければ期日は決まりません。この起算日が支払基準日です。

支払基準日をどの日付から取るかは、支払条件のカスタマイズで指定します。伝票日付、転記日付、入力日付のいずれかを基準にでき、さらに固定日数を加算することもできます。

基準にする日付想定される運用
伝票日付請求書に記載された日付から数える。最も一般的
転記日付会計計上した日から数える
入力日付SAPに登録した日から数える。請求書の到着が遅れる場合に
指定なし伝票入力時に手入力する

現金割引の会計処理

現金割引をどう記帳するかには、2つの考え方があります。どちらを採用するかは会社コードごとの設定です。

  1. 総額法(Gross Procedure):請求書の全額で買掛金を計上し、割引を受けて支払った時点で差額を「仕入割引」として収益計上します。割引を実際に取れたかどうかが、支払時点で明らかになります。
  2. 純額法(Net Procedure):割引を受ける前提で、割引後の金額で買掛金を計上します。期限内に支払えなかった場合、取り逃した割引額を費用として計上します。割引の取り逃しが見えやすくなります。

日本では総額法を採用する企業が多数派ですが、割引の獲得状況を管理指標にしたい場合は純額法が適します。

分割支払条件

1枚の請求書を複数回に分けて支払う契約の場合、分割支払条件(Installment Payment Terms)を使います。この条件を指定して転記すると、SAPは自動的に伝票明細を複数の期日に分割し、それぞれに異なる支払期限を設定します。

支払ブロック(Payment Block)

支払条件とは別に、個別の請求書を支払対象から外したい場面があります。品質に問題があって検収が終わっていない、金額に疑義があり確認中、といったケースです。このときに使うのが支払ブロックです。

支払ブロックは、伝票明細に設定する方法と、仕入先マスタに設定して当該仕入先への支払を一括で止める方法があります。ブロックがかかった明細は、自動支払プログラム(F110)の対象から自動的に除外されます。

📖 わからない用語は SAP用語辞典 で調べられます。

理解度チェック

このセクションの内容を確認しましょう。

確認問題 1

支払条件の期限計算の基準となる日付を何と呼ぶか。

確認問題 2

現金割引(Cash Discount)は、定められた割引期限内に支払った場合に適用される値引きである。

確認問題 3

特定の仕入先請求書を自動支払(F110)の対象から除外するために設定する機能はどれか。

確認問題 4

支払条件(Payment Terms)は仕入先マスタだけでなく、得意先マスタにも設定することができる。

確認問題 5

支払条件「14日以内2%現金割引・30日以内全額支払」の場合、請求金額10,000円を5日目に支払うといくらか。

確認問題 6

自動支払プログラム(F110)の実行時、支払期日がまだ到来していない請求書はどのように扱われるか。