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全体像

受注から会計伝票まで、SAPのテーブルを追う

受注・出荷・請求の伝票が、どのテーブルに入り、どの項目で次の伝票や会計伝票につながるのか。1件の取引を追いながら、S/4HANAの主要テーブルとつなぎ方を整理しました。購買から支払までの流れもまとめています。


「この請求の会計伝票はどれか」「この出荷の出庫は、どの入出庫伝票で記録されたか」。こうした問い合わせに答えるとき、画面の伝票フローで足りないと、テーブルを直接たどることになります。そのとき必要なのは、テーブル名の一覧よりも、「どの項目を見れば次の伝票にたどり着けるか」という知識です。

この記事では、S/4HANAを前提に、販売と購買の代表的な流れを1件ずつ追いながら、伝票が入るテーブルと、伝票どうしをつなぐ項目をまとめます。

テーブルを見るときの基本

  • 伝票は、ヘッダ(伝票全体の情報)と明細(行ごとの情報)の2つのテーブルに分かれていることが多い。受注ならVBAKがヘッダ、VBAPが明細
  • テーブルの中身は、SE16N(テーブルの内容を照会するトランザクション)で見る。本番環境では照会だけにとどめ、テーブルを直接書き換えることはしない
  • 伝票番号は、多くのテーブルで先頭をゼロで埋めた10桁で入っている。画面で「90001234」と見えていても、テーブルでは「0090001234」になっていることがある

販売:受注から会計伝票まで

下の図は、1件の受注が、出荷・出庫・請求を経て会計伝票になるまでを追ったものです。箱の中が伝票の入るテーブル、矢印の横が次の伝票にたどり着くための項目です。

1件の受注を、テーブルとつなぎ方で追う
受注 1000123VBAK・VBAP
LIPS-VGBEL = 受注番号(VBFAにも記録)
出荷 80001234LIKP・LIPS
VBFAに、後続の入出庫伝票として記録
出庫 4900005678MATDOC出庫の会計伝票はAWTYP = MKPF
VBRP-VGBEL = 出荷番号VBRP-AUBEL = 受注番号
請求 90001234VBRK・VBRP
BKPF-AWTYP = VBRKBKPF-AWKEY = 90001234
会計伝票 100000456BKPF・ACDOCA(BSEG)

伝票番号は説明用の例です。請求が参照するのは出庫ではなく出荷の伝票です。出庫でも、売上原価と在庫の会計伝票が作られます。

販売の流れで使う主なテーブル
伝票ヘッダ明細前の伝票とのつながり
受注VBAKVBAP見積などから作った場合は、VBAPの参照伝票(VGBEL)に元の伝票番号
出荷LIKPLIPSLIPSの参照伝票(VGBEL・VGPOS)に、受注の番号と明細番号
出庫(入出庫伝票)MATDOC(同じテーブル)出荷との関係は、伝票フロー(VBFA)に記録される
請求VBRKVBRPVBRPの参照伝票(VGBEL)に出荷の番号、販売伝票(AUBEL)に受注の番号
会計伝票BKPFACDOCA(BSEG)BKPFの参照取引(AWTYP)が VBRK、参照キー(AWKEY)が請求の番号

伝票フロー(VBFA)で前後の伝票をたどる

販売の伝票どうしの関係は、VBFA(販売の伝票フロー)にまとめて記録されています。1行が「先行伝票 → 後続伝票」の1つの関係を表し、先行伝票の番号(VBELV)と明細(POSNV)、後続伝票の番号(VBELN)と明細(POSNN)、後続伝票の種類(VBTYP_N)を持ちます。

たとえば受注の番号をVBELVに入れて検索すると、その受注から作られた出荷の行が見つかります。次に出荷の番号をVBELVに入れると、出庫の入出庫伝票や請求の行が見つかります。このように1段ずつたどっていくのが基本です。

会計伝票は参照取引と参照キーで特定する

請求や入出庫、請求書照合から作られた会計伝票は、会計伝票ヘッダ(BKPF)の2つの項目で元の伝票とつながっています。参照取引(AWTYP)が元の伝票の種類、参照キー(AWKEY)が元の伝票の番号です。

元の伝票から会計伝票を探すときの値
元の伝票参照取引(AWTYP)参照キー(AWKEY)
請求(VBRK)VBRK請求の番号
入出庫伝票(MATDOC)MKPF入出庫伝票の番号 + 会計年度
請求書照合(RBKP)RMRP請求書伝票の番号 + 会計年度
会計で直接入力した伝票BKPF会計伝票の番号など

入出庫伝票の参照取引が、テーブル名のMATDOCではなくMKPFになっている点に注意してください。会計伝票の明細が入るACDOCAにも同じ情報があり、参照取引(AWTYP)と、参照キーを分けた項目(AWREF・AWORG)で持っています。

購買:発注から支払まで

購買の流れでは、発注に対する入庫と請求書照合の記録が、発注履歴(EKBE)にまとまっています。発注の番号からEKBEを見れば、その発注に対してどの入出庫伝票と請求書伝票が作られたかが分かります。

購買の流れで使う主なテーブル
伝票テーブル前の伝票とのつながり
発注EKKO(ヘッダ)・EKPO(明細)購買依頼から作った場合は、EKPOに購買依頼の番号
入庫(入出庫伝票)MATDOCMATDOCに発注の番号(EBELN)と明細(EBELP)。EKBEにも記録される
請求書照合RBKP(ヘッダ)・RSEG(明細)RSEGに発注の番号と明細。EKBEにも記録される
会計伝票BKPF・ACDOCA(BSEG)入庫は参照取引 MKPF、請求書照合は RMRP で、参照キーに元の伝票の番号
支払REGUH・REGUP(自動支払のデータ)、支払の会計伝票支払で消し込まれた請求の明細に、消込伝票の番号(AUGBL)が入る

EKBEでは、履歴の種類(VGABE)で入庫と請求書を見分けます。1が入庫、2が請求書です。番号(BELNR)と会計年度(GJAHR)に、それぞれの入出庫伝票や請求書伝票の番号が入っています。

在庫と会計のデータが集まる場所

S/4HANAでは、入出庫の記録はMATDOC、会計の明細はACDOCA(ユニバーサルジャーナル)に集まっています。調べるときは、まずこの2つを見ると考えておくと迷いにくくなります。

  • MATDOC:入庫・出庫・在庫移動などの入出庫伝票が、ヘッダと明細を1つにした形で入る。在庫の数量も、ここに記録された動きから計算される
  • ACDOCA:総勘定元帳・原価センタ・固定資産など、会計に関わる明細が1つのテーブルに入る。元帳や原価の集計も、ここから行われる
  • BSEG:会計伝票の明細として、今も伝票ごとに作られる。伝票を入力した形のまま見たいときに使う

つなぎ方の早見表

知りたいこと見るテーブル条件にする項目
受注から作られた出荷・請求VBFAVBELV = 受注の番号
出荷の元になった受注LIPSVGBEL(参照伝票)
請求の元になった出荷と受注VBRPVGBEL(出荷)、AUBEL(受注)
請求の会計伝票BKPFAWTYP = VBRK、AWKEY = 請求の番号
入出庫伝票の会計伝票BKPFAWTYP = MKPF、AWKEY = 入出庫伝票の番号 + 会計年度
発注に対する入庫と請求書EKBEEBELN(発注の番号)、VGABE(1 入庫、2 請求書)
請求書照合の会計伝票BKPFAWTYP = RMRP、AWKEY = 請求書伝票の番号 + 会計年度
請求の明細を消し込んだ支払ACDOCA(BSEG)AUGBL(消込伝票の番号)

この記事に出てきた名前

名前種類何が入っているか
VBAK / VBAPテーブル受注などの販売伝票のヘッダと明細。ステータスもここに入る
LIKP / LIPSテーブル出荷伝票のヘッダと明細
VBRK / VBRPテーブル請求伝票のヘッダと明細
VBFAテーブル販売の伝票フロー。先行伝票と後続伝票の関係
MATDOCテーブル入出庫伝票。ヘッダと明細を1つにした形で入る
EKKO / EKPOテーブル発注のヘッダと明細
EKBEテーブル発注履歴。発注に対する入庫と請求書照合の記録
RBKP / RSEGテーブル請求書照合で作った請求書伝票のヘッダと明細
BKPFテーブル会計伝票のヘッダ。参照取引(AWTYP)と参照キー(AWKEY)を持つ
ACDOCAテーブルユニバーサルジャーナル。会計に関わる明細がまとめて入る
BSEGテーブル会計伝票の明細。伝票を入力した形のまま持つ
REGUH / REGUPテーブル自動支払(F110)で作られる支払のデータ
SE16Nトランザクションテーブルの内容を照会する

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