決済(Settlement)は、プロジェクトに集まった原価を、最終的な帰属先へ振り替える処理です。プロジェクトは原価を一時的に受け止める器であり、そこに置いたままにするのが目的ではありません。
なぜ決済が必要か
プロジェクトに集まった原価は、そのままでは会計上の位置づけが定まりません。それが資産になるのか、費用になるのか、売上原価になるのかは、プロジェクトの性質によって異なります。
| 決済先 | 使う場面 | 会計上の扱い |
|---|---|---|
| 固定資産(AuC経由) | 設備投資プロジェクト | 資産計上 |
| 原価センタ | 社内プロジェクト | 部門費用 |
| 総勘定元帳勘定 | 特定の費用として処理 | 費用計上 |
| 収益性セグメント(CO-PA) | 受注案件 | 製品・顧客別の損益に反映 |
| 販売伝票 | 受注生産 | 売上原価 |
| 他のWBS要素 | 階層内での集約 | プロジェクト内の振替 |
建設仮勘定(AuC)
設備投資プロジェクトでは、2段階の決済を行います。
| 段階 | 決済先 | タイミング |
|---|---|---|
| 第1段階 | 建設仮勘定(AuC) | 期末ごと。建設中の原価を資産に |
| 第2段階 | 完成資産 | 完成時。AuCから本勘定へ振替 |
建設中の設備にかかった原価は、完成するまで減価償却の対象になりません。しかし費用としても処理できないため、建設仮勘定という中間的な資産勘定に計上します。完成した時点で、建物や機械装置といった本来の資産勘定へ振り替え、減価償却を開始します。
決済プロファイルと決済ルール
決済の設定は、2つの階層で行われます。
| 要素 | 設定場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 決済プロファイル | プロジェクトプロファイル経由 | どの決済先が許可されるか、必須か任意か |
| 決済ルール | 各WBS要素/ネットワーク | 実際の振替先と配分比率 |
決済プロファイルは「何ができるか」の枠を定め、決済ルールは「実際にどこへ振り替えるか」を指定します。決済ルールが設定されていないオブジェクトは、決済実行時にエラーとなります。
WBS要素: P001-01-01
決済先1: 原価センタ 1000 配分 60%
決済先2: 原価センタ 2000 配分 40%
→ 集まった原価を6:4で2つの部門に配分結果分析(Results Analysis)
長期にわたるプロジェクトでは、期をまたぐ収益と原価の対応が問題になります。この調整を行うのが結果分析です。
「原価は発生しているが、まだ請求していない」あるいは「先に請求を受けたが、原価はこれから」という状況で、期間損益を適正化するための仕掛品や前受金を計算します。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 仕掛品(WIP) | 発生したが未請求の原価。資産計上 |
| 前受金 | 請求済みだが原価未発生の分。負債計上 |
| 引当金 | 見込まれる損失に対する引当 |
| 実現収益 | 進捗に応じて認識する収益 |
工事進行基準による収益認識を行う場合、結果分析が計算の基礎になります。進捗率にもとづいて、その期に認識すべき収益と原価を算出します。
期末処理の流れ
| 順序 | 処理 | Tコード |
|---|---|---|
| 1 | 間接費の配賦 | CJ44 / CJ45 |
| 2 | 利息の計算(必要な場合) | CJZ2 |
| 3 | 結果分析 | KKA2 / KKAJ |
| 4 | 決済 | CJ88 / CJ8G |
| 5 | 完了したプロジェクトのTECO | CJ20N |
順序が重要です。間接費を配賦してから結果分析を行わないと、仕掛品の金額が実態より小さくなります。同様に、結果分析の結果を決済に反映させる必要があるため、この順序は入れ替えられません。