PS(Project System/プロジェクト管理)は、プロジェクトの計画から実行、完了までを支援するモジュールです。「一過性で、明確な目的と期限があり、複数の部門や資源が関わる活動」を対象とします。
どういう業務で使われるか
| 領域 | 内容 | 重視される軸 |
|---|---|---|
| 受注生産(EPC) | プラント建設、大型機械の受注製造 | 原価、日程、進捗請求 |
| 設備投資 | 工場の新設、設備更新 | 予算統制、資産化 |
| 研究開発 | テーマ別のR&D管理 | 原価集計、テーマ別採算 |
| 保守・大規模修繕 | 定期修繕、オーバーホール | 原価、停止期間の管理 |
| 社内プロジェクト | システム導入、業務改善 | 工数と予算の管理 |
共通しているのは、「複数の部門が関わり、期間が長く、原価と日程の両方を管理する必要がある」という性質です。内部指図でも原価は集計できますが、日程管理や階層構造が必要になるとPSの領域になります。
PSの2つの構造
PSでは、プロジェクトを2つの異なる構造で表現します。両方を使うことも、WBSだけを使うこともできます。
| 構造 | 表すもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| WBS(作業分解構造) | 成果物や作業の階層的な分解 | 原価の集計、予算の配分、責任の割当 |
| ネットワーク | 活動とその順序関係 | 日程計画、所要量の生成、能力計画 |
WBSは「何を作るか」を階層で表し、ネットワークは「どういう順序でやるか」を表します。原価管理だけが目的ならWBSのみ、日程管理まで行うならネットワークも使う、という選択になります。
PSのオブジェクト階層
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| プロジェクト定義 | プロジェクト全体の枠組み。1プロジェクトに1つ |
| WBS要素 | 階層構造をなす作業の単位。原価の受け皿 |
| ネットワーク | 活動の集合。WBS要素に割り当てられる |
| 活動(Activity) | ネットワーク内の作業単位 |
| 活動要素 | 活動の下位区分 |
| マイルストーン | 節目となる時点。進捗請求の起点にもなる |
他モジュールとの連携
PSは、それ自体で完結するモジュールではありません。各モジュールでの活動を、プロジェクトという軸で集約します。
| モジュール | 連携内容 |
|---|---|
| MM | WBS要素や活動に対して購買依頼・発注を行う。資材がプロジェクトに引き当てられる |
| CO | 原価がWBS要素に集計される。決済によって最終的な帰属先へ振り替える |
| FI | 費用の直接転記、資産化 |
| SD | 受注をWBS要素に紐づける。進捗請求(マイルストーン請求) |
| PP | 受注生産の場合、製造指図がプロジェクトに紐づく |
| HR | 要員の工数をプロジェクトに転記 |
| AA | 完成した設備を固定資産へ決済 |
プロジェクトのライフサイクル
| 段階 | 主な作業 |
|---|---|
| 構造の作成 | プロジェクト定義とWBSを作る |
| 計画 | 原価計画、日程計画、要員計画を立てる |
| 予算 | 予算を割り当て、統制の基準とする |
| リリース | ステータスを解放し、実績の転記を可能にする |
| 実行 | 購買、作業、費用の発生 |
| 進捗管理 | 実績の把握、予実の比較、見込みの更新 |
| 請求 | マイルストーンや進捗に応じた請求 |
| 決済 | 集まった原価を最終的な帰属先へ振り替える |
| 完了 | ステータスを完了にし、新たな転記を止める |