WBS(Work Breakdown Structure/作業分解構造)は、プロジェクトを階層的に分解した構造です。PSにおける原価管理の骨格になります。
階層構造の考え方
WBSは、大きな成果物を段階的に細かい単位へ分解していく形で作ります。上位ほど概括的で、下位ほど具体的になります。
レベル1: 第2工場建設
レベル2: 土木・基礎工事
レベル3: 敷地造成
レベル3: 基礎コンクリート
レベル2: 建屋建設
レベル3: 鉄骨工事
レベル3: 外装・内装
レベル2: 設備導入
レベル3: 生産ライン設置
レベル3: ユーティリティ配管原価は下位のWBS要素に転記され、上位へ自動的に積み上がって集計されます。これにより、「基礎工事全体でいくらかかったか」「プロジェクト全体でいくらか」を階層のどのレベルでも把握できます。
WBS要素の3つの指標
WBS要素には、その要素が何をできるかを制御する3つの重要な指標があります。これらの意味を理解することが、PS設計の要点です。
| 指標 | 意味 | 設定すると |
|---|---|---|
| 勘定設定要素 | 原価を直接受け止められる | 購買発注や費用転記の対象にできる |
| 請求要素 | 収益を受け止められる | 受注やSD請求を紐づけられる |
| 計画要素 | 原価計画を入力できる | 計画値を登録できる |
これらの指標は排他ではなく、1つのWBS要素に複数設定できます。ただし、設計上は役割を分けるのが一般的です。
| 階層 | 設定する指標 | 役割 |
|---|---|---|
| レベル1(最上位) | 請求要素、計画要素 | 収益を受け、全体計画を持つ |
| レベル2(中間) | 計画要素 | 集計と計画の単位 |
| レベル3(最下位) | 勘定設定要素 | 実際の原価を受け止める |
WBS要素のその他の設定
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 責任者・要求者 | 担当と依頼元 |
| 基本開始日・終了日 | この要素の予定期間 |
| プロジェクトタイプ | 分析用の分類 |
| 優先度 | 重要度の区分 |
| 短縮ID | 入力時に使う短い識別子 |
| 原価センタ・利益センタ | 会計上の帰属 |
| 決済ルール | 原価の振替先 |
| ステータス | システムステータスとユーザーステータス |
WBSと組織単位の関係
WBS要素は、会社コード、事業領域、利益センタといった組織単位に紐づきます。この紐づけによって、プロジェクトの原価が会計上どこに属するかが決まります。
1つのプロジェクトの中で、WBS要素ごとに異なる会社コードを設定することも技術的には可能です。複数の法人が関わる大型案件で使われますが、決済や会社間転記が複雑になるため、慎重な設計が必要です。
構造の変更
プロジェクトの進行中に、WBS構造を変更したくなることがあります。要素の追加は容易ですが、既に実績が転記された要素の削除や移動には制約があります。