プロジェクト管理では、状況を正しく把握することが意思決定の前提になります。PSには複数のレポート機能があり、目的に応じて使い分けます。
レポートの2つの系統
| 系統 | 内容 | 代表的なTコード |
|---|---|---|
| 構造情報システム | プロジェクトの構造と属性を一覧 | CN41 / CN42N / CN43N |
| 原価レポート | 計画・予算・実績・コミットメントの金額 | CJE0 / S_ALR_87013532 |
| 明細レポート | 個々の伝票レベルの照会 | CJI3 / CJI5 / CJI8 |
状況把握は構造情報システムや原価レポートで行い、「なぜこの数字なのか」を追うときに明細レポートへ降りる、という使い方になります。
構造情報システム(CN41)
CN41は、プロジェクトの構造をツリー形式で表示し、各オブジェクトの日程、ステータス、責任者といった属性を一覧できます。
複数のプロジェクトを横断して検索することも可能です。「特定の責任者が担当する全プロジェクト」「遅延しているすべてのWBS要素」といった抽出ができ、ポートフォリオ管理にも使えます。
原価レポート
CJE0では、階層構造に沿って金額を集計表示します。予算・計画・実績・コミットメントを並べて比較できます。
| 数値 | 意味 |
|---|---|
| 予算 | 使ってよい上限 |
| 計画原価 | 見込まれる総額 |
| 実績原価 | 既に発生した額 |
| コミットメント | 発注済みで未計上の額 |
| 割当額 | 実績 + コミットメント |
| 残余予算 | 予算 − 割当額 |
残余予算がマイナスになっていれば、既に予算を超過しているか、超過が確定しています。この数値を定期的に確認することが、プロジェクトの原価統制の基本です。
明細レポート(CJI3)
CJI3は、実績原価の明細を1行ずつ表示します。原価要素、金額、転記日付、元伝票番号が確認できます。
明細行から会計伝票やMM伝票へドリルダウンできるため、「この金額はどの発注から来たのか」を辿れます。原価の内訳を説明する必要がある場面で必須のトランザクションです。
EVM(アーンドバリューマネジメント)
EVMは、原価と進捗を統合して評価する手法です。「予算を使っているが、それに見合う成果が出ているか」を数値で判断できます。
| 指標 | 略号 | 意味 |
|---|---|---|
| 計画価値 | PV | この時点までに完了すべき作業の予算額 |
| 出来高 | EV | 実際に完了した作業の予算額 |
| 実績原価 | AC | 実際にかかった費用 |
| コスト差異 | CV | EV − AC。プラスなら予算内 |
| スケジュール差異 | SV | EV − PV。プラスなら前倒し |
| コスト効率指数 | CPI | EV ÷ AC。1未満なら超過傾向 |
| スケジュール効率指数 | SPI | EV ÷ PV。1未満なら遅延傾向 |
PV = 1,000万円(計画では今頃1,000万円分終わっているはず)
EV = 800万円(実際に終わったのは800万円分)
AC = 1,200万円(かかった費用は1,200万円)
CV = 800 − 1,200 = −400万円(400万円の超過)
SV = 800 − 1,000 = −200万円(200万円分の遅れ)
CPI = 800 ÷ 1,200 = 0.67(効率が悪い)
SPI = 800 ÷ 1,000 = 0.80(遅れている)
→ 予定より遅れており、かつ費用も超過している外部ツールとの連携
PSは、Microsoft Projectなどの外部スケジューリングツールとデータを交換できます。日程計画は使い慣れたツールで行い、原価と実績はSAPで管理する、という併用も可能です。
また、SAP Analytics CloudやBWと連携することで、経営層向けのダッシュボードを構築できます。個別プロジェクトの詳細ではなく、ポートフォリオ全体の傾向を見たい場合には、こうした分析基盤との連携が有効です。