作業場所(Work Center)は、製造作業が行われる場所や設備を表すマスタです。作業手順の各工程は、必ずいずれかの作業場所に割り当てられます。
作業場所が担う3つの役割
作業場所マスタは、性格の異なる3つの情報を1つに束ねています。この構造を理解すると、設定項目の意味が整理できます。
| 役割 | 定義する内容 | 影響先 |
|---|---|---|
| 能力 | 1日に何時間作業できるか | 能力計画、負荷の計算 |
| スケジューリング | 作業時間をどう計算するか | 工程の開始日・終了日 |
| 原価計算 | どの原価センタの、どの活動タイプを使うか | 加工費の計算 |
基本データと制御
作業場所はCR01で作成します。作業場所カテゴリによって、使える機能が変わります。
| カテゴリ | 用途 |
|---|---|
| 0001 | 製造(Machine)。PPの標準 |
| 0006 | プロセス製造用のリソース |
| 0007 | 品質管理用 |
| 0005 | プラント保全用 |
基本データでは、責任者、使用開始日、標準値キーなどを設定します。標準値キーは、どの種類の時間(段取、機械、人など)を作業手順で入力するかを規定する重要な項目です。
能力の定義
能力タブでは、その作業場所がどれだけの作業をこなせるかを定義します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 能力カテゴリ | 機械能力、人的能力など、能力の種類 |
| 稼働開始・終了時刻 | 1日の操業時間帯 |
| 休憩時間 | 差し引く時間 |
| 稼働率 | 実際に使える割合(%) |
| 個別能力数 | 同時に作業できる単位数(設備台数、人数) |
| 稼働日カレンダ | 稼働する曜日と祝日の扱い |
| 能力所要量の生成 | 能力計画の対象とするかどうか |
1つの作業場所に複数の能力を定義できます。「機械は3台あるが、オペレータは2人しかいない」という制約を、機械能力と人的能力に分けて表現できます。
スケジューリングの式
スケジューリングタブでは、作業手順に入力された標準値から、実際の所要時間をどう計算するかを式として定義します。
段取時間 = SAP_08(標準値1をそのまま使用)
機械時間 = SAP_09(標準値2 × 数量 ÷ 基準数量)
人的時間 = SAP_10(標準値3 × 数量 ÷ 基準数量)段取時間は数量によらず固定、加工時間は数量に比例する——この違いが式によって表現されます。標準の式(SAP_08〜SAP_10など)でたいていの用途は足りますが、独自の計算が必要な場合はカスタムの式を定義できます。
原価計算との連携
原価計算タブでは、この作業場所での作業がどの原価センタから供給されるかを設定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原価センタ | 作業場所が属する原価センタ |
| 活動タイプ | 標準値の種類ごとに、対応する活動タイプを割当 |
| 原価計算用の式 | 原価計算時に使う時間の計算式 |
たとえば、標準値1(段取時間)に活動タイプ「段取」を、標準値2(機械時間)に活動タイプ「機械稼働」を割り当てます。確認入力で実績時間が入力されると、この対応にもとづいて原価センタから指図へ原価が振り替えられます。
階層と作業場所グループ
作業場所は階層構造を持てます。個別の設備を下位に、それらをまとめたライン全体を上位に置くことで、負荷を集約して見られます。
能力評価では、階層の上位で全体の負荷を確認し、過負荷が見つかったら下位に降りて個別の設備を調べる、といった使い方ができます。