部品表(BOM)と作業手順(Routing)は、PPの2大マスタです。前者が「何で作るか」、後者が「どう作るか」を定義します。この2つが揃ってはじめて、所要量計算も原価計算も動きます。
部品表(Bill of Material)
部品表は、ある製品を作るのに必要な構成部品と、その数量を定義します。CS01で作成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準数量 | この構成が何個分の製品に対するものか |
| 構成品目と数量 | 必要な部品と、その所要数 |
| 明細カテゴリ | 在庫品目(L)、非在庫品目(N)、テキスト(T)など |
| ロスの設定 | 工程ロス、部品ロスの見込み率 |
| 有効期間 | いつからいつまで有効な構成か |
| 代替品目 | 主部品が使えない場合の代替 |
基準数量という概念は重要です。基準数量100で部品Aが5個と定義されていれば、製品1個あたりの所要量は0.05個です。端数の出る配合を扱う場合に、精度を保つための仕組みです。
部品表用途(BOM Usage)
同じ製品でも、部門によって見たい構成が違うことがあります。用途という区分で、複数の部品表を持てます。
| 用途 | 番号 | 目的 |
|---|---|---|
| 生産 | 1 | MRPと製造で使う実際の構成 |
| 技術/設計 | 2 | 設計上の構成。部品の機能単位 |
| 汎用 | 3 | 複数用途で共通に使う |
| 販売 | 5 | 販売時のセット構成 |
| 原価計算 | 6 | 原価計算専用の構成 |
低位コードと展開順序
部品表は階層構造を持ちます。製品Aが中間品Bを使い、Bが部品Cを使う——この階層の深さを表すのが低位コード(Low-Level Code)です。
MRPも原価計算も、この低位コードの順に処理します。最も低い階層から順に計算することで、下位の結果を上位で使えるようにしているためです。
作業手順(Routing)
作業手順は、製品をどういう工程で、どの作業場所で、どれだけの時間をかけて作るかを定義します。CA01で作成します。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 工程(Operation) | 作業の1単位。番号順に実行される |
| 作業場所 | その工程を行う設備や作業区 |
| 標準値 | 段取時間、機械時間、人時間などの標準時間 |
| 制御キー | 確認の要否、原価計算対象か、外注かなどを制御 |
| 部品の割当 | どの工程でどの部品を使うか |
| 検査特性 | QM連携時の検査項目 |
標準値と活動タイプ
標準値は、その工程にかかる時間の見積もりです。段取時間、機械時間、人時間といった区分ごとに設定します。
この標準値が、作業場所に紐づく活動タイプの単価と掛け合わされ、加工費として原価計算に反映されます。COの活動タイプが、ここでPPとつながります。
工程10: 段取 0.5時間 × 段取単価 3,000円 = 1,500円
工程10: 機械 2.0時間 × 機械単価 5,000円 = 10,000円
工程10: 人 2.0時間 × 労務単価 2,500円 = 5,000円
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工程10の加工費合計 16,500円生産バージョン
生産バージョン(Production Version)は、部品表と作業手順の組み合わせを1つの単位として定義したものです。
「量産ラインで作る場合は部品表1と作業手順A、試作ラインなら部品表2と作業手順B」といった組み合わせを、生産バージョンとして登録しておきます。MRPや原価計算は、この生産バージョンを選んで処理します。S/4HANAでは生産バージョンが必須になっているため、ECCから移行する際は整備が必要です。