需要管理(Demand Management)は、MRPの入力となる需要を設定する機能です。「これから何がどれだけ売れるか」を数値として登録することで、生産計画の起点を作ります。
2種類の所要量
MRPが扱う需要には、性質の異なる2種類があります。
| 種類 | 英語 | 発生源 | 例 |
|---|---|---|---|
| 独立所要量 | Independent Requirement | 外部から与えられる | 受注、販売計画 |
| 従属所要量 | Dependent Requirement | 部品表の展開で自動生成 | 製品を作るために必要な部品 |
独立所要量は、他の何かから計算されるのではなく、外から与えられる需要です。完成品に対して設定され、そこから部品表を展開して従属所要量が生成されます。
計画独立所要量(PIR)
計画独立所要量(Planned Independent Requirement/PIR)は、販売計画や需要予測を数値化したものです。MD61で登録します。
受注が入る前に生産を始める見込生産では、このPIRが唯一の需要情報になります。「来月は製品Xを1,000個売る見込みだから、それに向けて作る」という計画を、SAPに伝える手段です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品目・プラント | どの品目を、どこで作るか |
| バージョン | 複数の計画案を並行して持てる。有効なのは1つ |
| 期間区分 | 日次、週次、月次のいずれで計画するか |
| 数量 | 各期間の計画数量 |
| 所要量タイプ | 計画戦略から自動決定される |
計画戦略
計画戦略(Planning Strategy)は、需要をどう扱うかを決める設定です。品目マスタのMRP 3ビューで戦略グループを設定します。
| 戦略 | 生産方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 10 | 見込生産(在庫のみ) | PIRだけで生産。受注は在庫から引き当てる |
| 11 | 見込生産(総所要量) | 在庫を考慮せずPIRどおりに生産。流れ生産向け |
| 20 | 受注生産 | PIRを使わず、受注だけで生産 |
| 40 | 見込生産(最終組立計画) | PIRで先行生産し、受注がPIRを消費する |
| 50 | 受注組立 | 部品まで先行手配し、受注で最終組立 |
実務で最もよく使われるのが戦略40です。予測にもとづいて生産を進めつつ、実際の受注が入ったらそれが予測を「消費」する仕組みになっています。
需要の消費(Consumption)
消費とは、受注が入ったときにPIRを減額する仕組みです。これがないと、予測と受注が二重にカウントされ、過剰生産になります。
当初のPIR : 4月 1,000個
受注が入る : 4月納期 300個
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消費後のPIR : 4月 700個(残りの予測)
合計の所要量 : 700 + 300 = 1,000個(変わらない)受注300個がPIRを300個分消費するため、合計の所要量は1,000個のまま変わりません。予測どおりに受注が入れば、生産量は当初計画と一致します。
消費モードと消費期間
どの期間のPIRを消費するかは、消費モードと消費期間で制御します。品目マスタのMRP 3ビューで設定します。
| 消費モード | 内容 |
|---|---|
| 後方消費のみ | 受注日より前のPIRを消費する |
| 後方/前方消費 | まず前を探し、なければ後を探す |
| 前方消費のみ | 受注日より後のPIRを消費する |
| 前方/後方消費 | まず後を探し、なければ前を探す |
消費期間は、何日前まで(または何日後まで)遡って消費するかの日数です。この設定が短すぎると、少し日付がずれただけで消費されず、予測と受注が重複してしまいます。