受注伝票(Sales Order)は、顧客の注文を確定させる伝票です。SDのプロセスの起点であり、ここで決まった内容が出荷にも請求にも引き継がれます。
受注登録で自動的に決まるもの
VA01で受注先と品目と数量を入れるだけで、SAPは多くの項目を自動的に決定します。この自動決定の仕組みを理解しているかどうかが、SDを扱えるかの分かれ目になります。
| 決まるもの | 決定の根拠 | 影響 |
|---|---|---|
| 価格 | 価格設定手順と条件レコード | 売上金額 |
| 出荷先・支払人 | 得意先マスタのパートナ機能 | 届け先、与信対象 |
| プラント | 得意先・品目情報 → 得意先マスタ → 品目マスタの順 | どこから出荷するか |
| 出荷ポイント | 出荷条件・積込グループ・プラントの組合せ | 出荷作業の実行場所 |
| ルートと納期 | 出荷先の国・地域、輸送グループ | 確認納期の算出 |
| 明細カテゴリ | 伝票タイプ・品目カテゴリグループ等の組合せ | 明細の振る舞い全般 |
| 税 | 出荷元国・出荷先国・得意先税分類・品目税分類 | 消費税額 |
明細カテゴリ
明細カテゴリは、その明細行が何を意味するかを決める、SDで最も重要な制御項目の1つです。
| 制御項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格設定の要否 | 無償品なら価格を計算しない |
| 出荷の要否 | サービス品目なら出荷伝票を作らない |
| 請求の要否 | 無償サンプルなら請求しない |
| 在庫引当の要否 | 在庫を持たない品目ならATPを行わない |
| 原価の計上 | 売上原価を立てるかどうか |
標準的な販売明細はTAN、無償明細はTANN、テキストのみの明細はTATXといったカテゴリが割り当てられます。同じ品目でも、明細カテゴリが違えば挙動が変わります。
ATPチェック(利用可能在庫確認)
ATP(Available to Promise)チェックは、「その納期に本当に出せるか」を判定する処理です。単に現在庫を見るのではなく、将来の入出庫予定まで含めて計算します。
何を計算に含めるかは、可用性チェックの範囲設定で決めます。
- 在庫(利用可能な在庫。品質検査中や保留在庫を含めるかは設定次第)
- 入庫予定(購買発注の納入予定、製造指図の完成予定)
- 出庫予定(他の受注による引当、出荷伝票による引当)
- 安全在庫(確保しておく最低在庫。計算から除外することが多い)
チェックの結果、要求納期に間に合わない場合、SAPは代替案を提示します。「一部を要求納期に、残りを後日に」という分割納入案や、「全量を後日に」という一括納入案です。この結果が納期スケジュール行に反映されます。
受注伝票のステータス
受注伝票は、後続処理の進み具合に応じてステータスが変化します。ステータスは明細ごと、ヘッダごとに保持されます。
| ステータス | 意味 |
|---|---|
| 未処理 | 出荷伝票も請求伝票も作られていない |
| 一部処理済 | 一部だけ出荷または請求された |
| 完全処理済 | すべて出荷・請求が完了した |
| 完了 | 手動で完了扱いにした(残数量を出荷しない場合) |
出荷しない残数量が残っている受注は、いつまでも受注残として残り続けます。顧客がキャンセルした場合などは、明細の理由コード(Reason for Rejection)を設定して、受注残から外す運用が必要です。