セクション 9 / 10

返品・クレジットメモ処理

返品伝票の流れと在庫の戻し方、クレジットメモとデビットメモの使い分け、請求ブロックによる承認統制を解説します。

目次を開く

販売した商品が返ってくる、あるいは請求金額を後から修正する——こうした「戻り」の処理は、通常の販売プロセスとは別の伝票タイプで扱われます。

3つのパターン

まず、何が戻ってくるのかを整理します。商品が戻るのか、お金だけが戻るのかで、使う伝票が変わります。

戻り処理のパターン
状況使う伝票在庫会計
商品が返品される返品伝票(RE)在庫が戻る売上と売掛金が減る
商品はそのまま、金額だけ減額クレジットメモ依頼(CR)変化なし売上と売掛金が減る
金額を追加請求デビットメモ依頼(DR)変化なし売上と売掛金が増える

品質不良で商品を回収する場合は返品、価格の誤りや事後値引きは金額だけの調整なのでクレジットメモ、請求漏れや追加費用の請求はデビットメモ、という使い分けです。

返品プロセスの流れ

返品は、通常の販売プロセスを逆向きに辿る形になります。

順序処理Tコード内容
1返品伝票の作成VA01(伝票タイプRE)元の請求伝票を参照して作成
2返品納入伝票の作成VL01N受け入れる数量を確定
3入庫転記VL02N在庫が戻る。売上原価が戻る
4請求ブロックの解除VA02承認後にブロックを外す
5クレジットメモの発行VF01売上と売掛金が減る

返品在庫の扱い

返品された商品を、そのまま販売可能な在庫に戻してよいとは限りません。検品してから判断すべきケースが多くあります。

SAPでは、返品在庫をいったんブロック在庫として受け入れ、検品後に利用可能在庫へ移動する運用が可能です。移動タイプ651(ブロック在庫として受入)と653(利用可能在庫として受入)を使い分けます。

  • 移動タイプ651:返品在庫(ブロック)として受け入れる。販売可能在庫には含まれない
  • 移動タイプ653:直接、利用可能在庫として受け入れる
  • 検品後に移動タイプ453などでブロック在庫から利用可能在庫へ振り替える

請求ブロックによる統制

返品伝票、クレジットメモ依頼、デビットメモ依頼には、既定で請求ブロックが設定されます。これは重要な内部統制の仕組みです。

クレジットメモは売上を減らす処理であり、不正の温床になりやすいためです。営業担当者が単独で発行できないよう、上長や管理部門の承認を経てブロックを解除する運用にします。

理由コード

返品やクレジットメモには、理由コード(Order Reason)を設定します。「品質不良」「誤出荷」「顧客都合」「価格誤り」といった分類を整備しておくと、原因分析ができます。

返品率が高い製品はどれか、誤出荷はどの倉庫で多いか、といった分析は品質改善の起点になります。理由コードを形式的に入力させるだけでなく、定期的に集計して現場にフィードバックする運用が重要です。

請求伝票の取消

請求そのものが誤っていた場合は、クレジットメモではなく請求伝票の取消(VF11)を使います。取消はFIの伝票も含めて元に戻す処理であり、そもそも請求がなかった状態にします。

一方、クレジットメモは「請求は正しく行われたが、その後に減額した」という記録を残します。どちらを使うかは、取引の実態がどちらに近いかで判断します。顧客に請求書を送付済みであれば、通常はクレジットメモを使います。

📖 わからない用語は SAP用語辞典 で調べられます。

理解度チェック

このセクションの内容を確認しましょう。

確認問題 1

返品受注の伝票タイプはどれですか?

確認問題 2

クレジットメモ依頼(CR)では物理的な在庫返却が発生する。

確認問題 3

返品入庫(PGR)が実行されると在庫はどうなりますか?

確認問題 4

デビットメモ依頼(DR)は得意先への追加請求に使用する。

確認問題 5

クレジットメモの承認前処理としてブロックをかける設定はどこで行いますか?

確認問題 6

返品プロセスを正しい順序に並べてください。

クリックして正しい順番に選んでください