価格設定は、SDの中で最も設定が複雑で、同時に最も重要な領域です。SAPは条件テクニックという汎用的な仕組みで価格を決定しており、これは出力決定やテキスト決定など他の領域にも共通する考え方です。
価格はどう決まるか
受注明細の価格は、単一の値として保存されているのではありません。複数の条件(基本価格、値引、割増、運賃、税など)が積み重なって最終金額が決まります。
| ステップ | 条件タイプ | 内容 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 10 | PR00 | 基本価格 | 1,000 |
| 20 | K007 | 得意先値引 5% | -50 |
| 30 | K005 | 得意先・品目値引 | -20 |
| — | 正味価格 | 930 | |
| 40 | KF00 | 運賃 | +30 |
| 50 | MWST | 消費税 10% | +96 |
| — | 請求金額 | 1,056 |
条件テクニックの4要素
条件テクニックは、4つの要素が階層的に組み合わさった仕組みです。上から順に理解していくと分かりやすくなります。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| 価格設定手順 | どの条件タイプを、どの順序で、どう計算するかを定義する |
| 条件タイプ | 個々の価格要素。基本価格、値引、運賃など |
| アクセスシーケンス | 条件レコードをどの順序で探すかを定義する |
| 条件テーブル | 条件レコードを保存するキーの組み合わせ |
アクセスシーケンスの働き
同じ値引でも、「この得意先とこの品目の組み合わせなら10%」「この得意先なら5%」「それ以外は3%」というように、条件の細かさが異なることがあります。
アクセスシーケンスは、こうした条件を「細かいものから順に」探索する仕組みです。より具体的な条件が見つかればそれを使い、なければ次の一般的な条件を探します。
| 順序 | 条件テーブルのキー | 見つかったら |
|---|---|---|
| 1 | 得意先 + 品目 | それを使う(最も具体的) |
| 2 | 得意先 + 品目グループ | 1がなければこれを使う |
| 3 | 価格グループ + 品目 | 2がなければこれを使う |
| 4 | 品目 | どれもなければこれを使う(最も一般的) |
条件レコードの登録
実際の価格や割引率は、条件レコードとして登録します。VK11で新規登録、VK12で変更、VK13で照会します。
条件レコードには有効期間があります。「4月1日から価格改定」といった運用は、新しい条件レコードを将来日付で登録することで実現します。同じキーで期間の異なるレコードを複数持てるため、価格の履歴も保持されます。
条件タイプの主な設定
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| 計算タイプ | 固定金額、パーセント、数量ベース、重量ベースなど |
| 条件クラス | 価格、値引・割増、税金といった分類 |
| 手動入力の可否 | 伝票で手入力できるか、条件レコードからのみか |
| 変更の可否 | 自動決定された金額を上書きできるか |
| 明細条件/ヘッダ条件 | 明細ごとに設定するか、伝票全体に適用するか |
| 小計への影響 | 正味価格に含めるか、統計的な表示のみか |
価格設定手順の決定
どの価格設定手順を使うかは、販売エリア・得意先価格設定手順・伝票価格設定手順の組み合わせで決まります。得意先や伝票タイプによって異なる価格ロジックを適用したい場合、この組み合わせで分岐させます。