得意先マスタは、SDにおける最も基本的なマスタデータです。ここに登録された情報が、受注伝票の初期値として自動的に引き継がれるため、マスタの精度がそのまま業務効率に直結します。
3層構造
得意先マスタは、仕入先マスタと同じく3つの階層に分かれています。それぞれ管理する部門が異なることに対応した構造です。
| 階層 | 管理する情報 | 管理部門 |
|---|---|---|
| 総括データ | 名称、住所、電話番号、言語、業種 | 全社共通 |
| 会社コードデータ | 照合勘定、支払条件、督促手続、与信情報 | 経理(FI) |
| 販売エリアデータ | 販売地区、出荷条件、価格グループ、税分類、パートナ機能 | 営業(SD) |
販売エリアデータは、販売組織・流通チャネル・製品部門の組み合わせごとに保持されます。同じ得意先でも、国内向けと輸出向けで支払条件や価格グループを変えたい場合、販売エリアを分けることで対応できます。
パートナ機能
SDで特徴的なのがパートナ機能という考え方です。1件の取引に登場する得意先は、必ずしも1つではありません。
注文をくれた会社の本社と、商品を届ける先の工場と、請求書を送る先の経理部門と、実際にお金を払う親会社が、すべて異なることは珍しくありません。SDはこれを4つの役割に分けて管理します。
| 機能 | 略号 | 役割 | 影響する項目 |
|---|---|---|---|
| 受注先 | SP | 注文を出す主体 | 販売エリア、価格グループの決定 |
| 出荷先 | SH | 商品の届け先 | 出荷ポイント、ルート、納期、出荷条件の決定 |
| 請求先 | BP | 請求書の送付先 | 請求書の宛先 |
| 支払人 | PY | 代金を支払う主体 | 支払条件、与信管理、督促の対象 |
得意先マスタを1件作成すると、通常は4つの機能すべてが自分自身に設定されます。異なる相手を指定したい場合のみ、販売エリアデータのパートナ機能タブで別の得意先番号を設定します。
得意先勘定グループ
得意先勘定グループは、得意先を種別ごとに分類し、番号範囲と項目の入力必須/任意を制御します。
| グループ | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常の得意先 | 継続的に取引する顧客 | すべての階層を持つ |
| 出荷先専用 | 納品先の住所だけを管理 | 会社コードデータを持たない |
| 一括請求先 | 請求をまとめる親会社 | 請求先・支払人としてのみ使う |
| ワンタイム得意先 | 一度限りの取引 | 住所を伝票側で都度入力する |
ワンタイム得意先は、個人向け販売や単発の取引で、得意先マスタを大量に作らずに済ませるための仕組みです。1つの代表マスタを使い回し、実際の名称や住所は伝票入力時に入力します。
得意先・品目情報レコード
得意先マスタとは別に、特定の得意先と特定の品目の組み合わせに対する設定を持てます。これが得意先・品目情報レコード(VD51)です。
得意先が自社と違う品目コードで発注してくる場合の読み替え、その得意先だけの出荷条件、特定品目の出荷停止といった設定に使います。受注入力時に得意先の品目番号で検索できるようになるため、EDI受注の運用では重要な機能です。