通常の購買は「買って、自社の在庫にして、使う」という流れですが、実務にはこれに当てはまらない調達形態があります。ここでは代表的な3つを扱います。
コンサインメント在庫
コンサインメント(Consignment)は、仕入先の在庫を自社の倉庫に置いておき、使った分だけ支払う方式です。預り在庫とも呼ばれます。
重要なのは、倉庫にあっても所有権は仕入先にあるという点です。したがって、入庫の時点では会計伝票が立ちません。
| 段階 | 在庫 | 会計 |
|---|---|---|
| 入庫(移動タイプ101) | コンサインメント在庫として増加 | 仕訳なし(所有権は仕入先) |
| 消費(移動タイプ201Kなど) | コンサインメント在庫が減少 | (借)費用/(貸)買掛金 |
| 自社在庫への振替(411K) | 自社在庫に移る | (借)在庫/(貸)買掛金 |
| 精算(MRKO) | — | 消費分の請求書を自動生成 |
コンサインメントを使う利点は、在庫を手元に持ちながら、使うまで資金が拘束されないことです。仕入先にとっては、顧客の近くに在庫を置くことで受注機会を確保できます。
外注加工(Subcontracting)
外注加工は、部品を外部の業者に支給し、加工してもらって完成品を受け取る形態です。品目カテゴリLを使います。
支給した部品は、外部業者の場所にありますが、所有権は自社にあります。この在庫を「仕入先在庫(Stock Provided to Vendor)」として管理します。
| 段階 | 移動タイプ | 内容 |
|---|---|---|
| 部品の支給 | 541 | 自社在庫から仕入先在庫へ移動。所有権は保持 |
| 完成品の入庫 | 101 | 完成品が自社在庫に入る |
| 部品の消費 | 543 | 仕入先在庫から自動的に消費される |
| 請求照合 | — | 加工賃のみを支払う |
注目すべきは、完成品の入庫(101)と同時に、部品の消費(543)が自動的に行われる点です。外注品目の部品表にもとづいて、必要な部品が自動的に引き落とされます。
支払う金額は加工賃のみです。部品は自社のものなので、その分の対価は発生しません。完成品の在庫評価額は、部品の価格と加工賃の合計になります。
在庫転送発注(STO)
在庫転送発注(Stock Transport Order/STO)は、自社の拠点間で在庫を移動させるための発注です。プラントAからプラントBへ商品を送る場合などに使います。
単純な移動(移動タイプ301)でも拠点間の在庫移動はできますが、STOを使う利点があります。
- 出荷元と入荷先で作業を分離できる(出庫と入庫が別のタイミング)
- 輸送中の在庫を「輸送中在庫」として可視化できる
- 出荷伝票を使った本格的な出荷処理ができる(SD連携)
- 会社コードをまたぐ場合、内部売買として処理できる
| 種類 | 会社コード | 会計処理 |
|---|---|---|
| プラント間STO(同一会社コード) | 同じ | 在庫の振替のみ。損益は発生しない |
| 会社間STO | 異なる | 売上と仕入が発生。内部利益の消去が必要 |
会社コードをまたぐSTOでは、送り側の会社に売上が立ち、受け側の会社に仕入が立ちます。連結決算では、この内部取引を消去する必要があります。