毎回同じ仕入先から同じ品目を買うのに、そのたびに価格を入力するのは非効率です。購買情報レコードと枠契約は、こうした繰り返しの取引を効率化する仕組みです。
購買情報レコード
購買情報レコード(Purchasing Info Record)は、特定の仕入先と特定の品目の組み合わせに対する情報を保持するマスタです。ME11で作成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | 購入単価。有効期間つきの条件レコードとして保持 |
| 納入予定日数 | 発注から納入までの標準的な日数 |
| 仕入先の品目番号 | 相手先が使っている品番。発注書に印字できる |
| 最小発注数量 | 発注可能な最小ロット |
| 過剰/過少納入の許容 | 納入数量のずれをどこまで許すか |
| 入庫処理期間 | 入庫から検収までの日数 |
購買情報レコードがあると、発注時に価格が自動的に提案されます。また、MRPが自動的に発注先を選定する際の情報源にもなります。
枠契約(Outline Agreement)
枠契約は、仕入先との長期的な取引条件を定めた契約です。「1年間で1,000個買う、単価は800円」といった合意を、SAP上の伝票として登録します。
枠契約には2つの種類があります。
| 観点 | 契約(Contract) | スケジュール契約(Scheduling Agreement) |
|---|---|---|
| 納入の指示方法 | 契約を参照して個別に発注する | 納入計画(スケジュール行)で指示する |
| 伝票の数 | 契約1件+発注が複数件 | スケジュール契約1件のみ |
| 向いている取引 | 不定期な発注 | JITなど定期的・継続的な納入 |
| Tコード | ME31K | ME31L |
契約の2つのタイプ
契約は、何を上限とするかによってさらに2つに分かれます。
| タイプ | 記号 | 上限の設定 | 向いている取引 |
|---|---|---|---|
| 数量契約 | MK | 契約数量(例:年間1,000個) | 品目が明確で数量が読める取引 |
| 金額契約 | WK | 契約金額(例:年間500万円) | 品目が多岐にわたる、または特定できない取引 |
数量契約は、特定の品目を一定量買うことを約束するものです。金額契約は、品目を限定せず「この仕入先から年間これだけ買う」という枠を設定します。文房具や消耗品のように品目が多い場合は金額契約が適します。
いずれの場合も、契約を参照して発注(リリースオーダー)を作成し、その実績が契約の消化として累積されます。上限に達すると、警告またはエラーが表示されます。
スケジュール契約
スケジュール契約は、契約と納入指示を1つの伝票で管理します。契約本体に納入スケジュール行を追加していく形です。
自動車産業のように、JIT(Just In Time)で頻繁に納入を受ける取引に適しています。毎回発注書を発行する必要がなく、納入計画を更新するだけで仕入先に指示が伝わります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| フォーキャスト(LPA) | 中長期の見込み。仕入先の生産計画の参考 |
| JIT納入計画 | 直近の確定した納入指示。日次・時間単位まで指定可能 |
クォータ取決め
複数の仕入先から同じ品目を調達し、その比率を決めたい場合は、クォータ取決め(Quota Arrangement)を使います。「A社から60%、B社から40%」といった配分を定義しておくと、MRPが自動的にその比率で発注先を振り分けます。
調達先を1社に依存するリスクを避けたい場合や、複数社との関係を維持したい場合に使われる機能です。