購買発注(Purchase Order/PO)は、仕入先に対する正式な注文です。ここで確定した内容が入庫と請求照合の基準になるため、MMプロセスの中核をなす伝票です。
購買発注の構造
購買発注は、ヘッダ・明細・納入スケジュールの3階層で構成されます。SDの受注伝票と似た構造です。
| 階層 | 保持する情報 |
|---|---|
| ヘッダ | 仕入先、発注日、支払条件、通貨、購買組織、購買グループ |
| 明細 | 品目、数量、価格、納入プラント、勘定設定、品目カテゴリ |
| 納入スケジュール | 納入日ごとの数量。分納に対応 |
勘定設定カテゴリ
勘定設定カテゴリ(Account Assignment Category)は、購入したものの原価をどこが負担するかを決める重要な項目です。
| 記号 | 意味 | 入庫時の会計処理 |
|---|---|---|
| (空欄) | 在庫品目 | 在庫勘定に計上される |
| K | 原価センタ | 入庫と同時に費用計上。在庫にならない |
| F | 指図 | 内部指図や製造指図に原価が集まる |
| P | プロジェクト(WBS) | WBS要素に原価が集まる |
| A | 固定資産 | 固定資産に計上される |
| C | 受注 | 受注に紐づく在庫として管理される |
勘定設定カテゴリを指定すると、入庫の時点で在庫を経由せず、直接その原価対象へ費用が計上されます。事務用品を総務部の費用として買う場合はK、設備投資として買う場合はAという使い分けです。
品目カテゴリ
品目カテゴリ(Item Category)は、その明細がどういう種類の調達かを表します。
| 記号 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| (空欄) | 標準 | 通常の購買 |
| L | 外注 | 部品を支給して加工を委託する |
| K | コンサインメント | 仕入先の在庫を預かる。消費時に債務が立つ |
| U | 在庫転送 | 自社拠点間の移動 |
| D | サービス | サービス明細を持つ。実施記録で検収 |
| B | 限度付き | 金額の上限だけ決め、実績で消化する |
購買依頼から発注へ
購買依頼(Purchase Requisition/PR)は、社内の購入申請です。現場が手入力するほか、MRPが所要量から自動生成することもあります。
購買依頼を発注に変換する方法はいくつかあります。
- ME21Nで購買依頼を参照して手動作成する
- ME57/ME58で購買依頼を仕入先に割り当ててから変換する
- ME59Nで一括して自動変換する(自動発注可の設定が必要)
ME59Nによる自動変換を使うには、品目マスタの購買ビューで自動発注を許可し、仕入先マスタでも自動発注を許可し、購買情報レコードで価格を登録しておく必要があります。この3条件が揃えば、購買依頼から発注までを無人で回せます。
レリース戦略(承認プロセス)
一定金額以上の購入には承認が必要、という統制を実現するのがレリース戦略です。購買依頼と購買発注のそれぞれに設定できます。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| レリースグループ | 戦略をグループ化する単位 |
| レリース戦略 | 承認のパターン。どのコードを何段階経るか |
| レリースコード | 承認者を表すコード |
| 特性・クラス | 戦略を選ぶ条件(金額、購買グループ、品目グループなど) |
| レリース表示 | 承認前に発注書を出力できるかなどを制御 |
「100万円未満は課長承認のみ、100万円以上は課長と部長の2段階」といった設計が可能です。承認が完了するまで、発注書は仕入先に出力されません。
発注書の出力
発注内容を仕入先に伝える手段は、メッセージ制御(出力決定)で管理します。印刷、FAX、メール、EDIといった媒体を、仕入先や購買組織ごとに設定できます。
出力決定も条件テクニックにもとづいており、SDの価格設定と同じ考え方でアクセスシーケンスと条件レコードを使います。