利益センタ(Profit Center)は、社内の一部門をあたかも独立した会社であるかのように扱い、その部門の損益を把握するための単位です。原価センタとの違いは、収益も扱う点にあります。
原価センタとの違い
| 観点 | 原価センタ | 利益センタ |
|---|---|---|
| 扱う金額 | 原価(費用)のみ | 原価と収益の両方 |
| 問いの立て方 | いくらコストがかかったか | いくら儲かったか |
| 対応する組織 | 部署、ライン | 事業部、製品群、地域 |
| 作れる報告書 | 原価センタ別原価報告書 | 擬似的なP/L、貸借対照表 |
両者は排他的なものではありません。原価センタマスタには所属する利益センタを設定する項目があり、原価センタに集まった原価は自動的に紐づく利益センタにも反映されます。原価センタが「詳細な原価の受け皿」、利益センタが「損益を見るための束ね方」という関係です。
利益センタの設計
利益センタをどう切るかは、経営がどの単位で採算を見たいかによって決まります。事業部制の会社なら事業部ごと、製品軸で管理するなら製品群ごと、地域軸なら支社ごとといった具合です。
原価センタと同様に標準階層を持ち、利益センタグループによる代替の集計軸も作れます。マスタの作成はKE51、階層の保守はKCH5Nで行います。
利益センタへの割当
利益センタは、さまざまなオブジェクトに割り当てられます。取引が発生すると、そのオブジェクトに設定された利益センタへ自動的に金額が流れます。
| オブジェクト | 設定場所 | 効果 |
|---|---|---|
| 原価センタ | 原価センタマスタ | その原価センタの原価が流れる |
| 品目マスタ | 原価管理ビュー | 在庫と売上原価が流れる |
| 内部指図 | 指図マスタ | 指図に集まった原価が流れる |
| 販売伝票 | 明細ごとに決定 | 売上が流れる |
| 固定資産 | 資産マスタ | 減価償却費が流れる |
内部振替価格
利益センタ間で製品や役務をやり取りする場合、いくらで振り替えるかという問題が生じます。この内部振替価格の設定は、各利益センタの損益に直接影響するため、社内政治が絡みやすい論点でもあります。
- 原価基準:製造原価または標準原価をそのまま使う。供給側に利益は乗りません。
- 市価基準:外部の市場価格を参照する。供給側も独立採算として評価できます。
- 交渉価格:当事者間で合意した価格を使う。
S/4HANAにおける利益センタ
ECCでは、利益センタ会計(EC-PCA)が独立した機能として存在し、専用のテーブルにデータを持っていました。新総勘定元帳の導入以降、利益センタは総勘定元帳の1つの属性として扱われるようになり、S/4HANAではこの形に完全に移行しています。
つまり、利益センタ別の財務諸表を作るために別の帳簿を維持する必要がなくなりました。ユニバーサルジャーナルの各行が利益センタを属性として持つため、通常の財務諸表を利益センタで絞り込むだけで、その単位の損益が得られます。