COの期末処理は、期中に集まった原価を最終的な帰属先へ落とし込む作業です。FIの決算と並行して行われますが、順序と依存関係がFI以上に複雑です。
期末処理の全体像
COの期末処理は、大きく3つのブロックに分かれます。上流から下流へ、原価が流れていく順に処理します。
| ブロック | 対象 | 主な処理 |
|---|---|---|
| 1. 原価センタの締め | 原価センタ | 実際活動単価の算定、再評価、間接費の配賦・分配 |
| 2. 指図・プロジェクトの締め | 製造指図、内部指図、WBS | 間接費配賦、仕掛品算定、差異計算、決済 |
| 3. 収益性の締め | CO-PA | 間接費の配賦、トップダウン配賦 |
この順序が重要なのは、下流の処理が上流の結果に依存するためです。原価センタの活動単価が確定しないと、指図の原価が確定しません。指図の原価が確定しないと、CO-PAへ流す製造原価が決まりません。
原価センタの締め
| 順序 | 処理 | Tコード | 目的 |
|---|---|---|---|
| 1 | 間接費の上乗せ | KSII前段 | 該当する場合に間接費率を適用 |
| 2 | 実際活動単価の算定 | KSII | 実際原価 ÷ 実際活動量で単価を算出 |
| 3 | 活動配賦の再評価 | MFN1 | 計画単価で振り替えた分を実際単価に修正 |
| 4 | 分配 | KSV5 | 一次原価要素のまま他部門へ振替 |
| 5 | 配賦 | KSU5 | 二次原価要素にまとめて他部門へ振替 |
指図の締め
製造指図と内部指図では、締めの流れが共通しています。
- 間接費配賦(KGI2 / CO43):指図に集まった直接費に対して、間接費率を適用して上乗せします。
- 仕掛品算定(KKAX / KKAO):完成していない指図について、投入済みの原価を仕掛品として認識します。
- 差異計算(KKS1 / KKS2):完成した指図について、標準との差を種類別に分解します。
- 決済(CO88 / KO88 / KO8G):仕掛品を貸借対照表へ、差異を損益またはCO-PAへ振り替えます。
2と3は排他的です。同じ指図に対して、仕掛品として扱う期と差異を計算する期は異なります。製造中の期は仕掛品、完成した期は差異、という切り替わりが自動的に行われます。
未処理の検出
期末処理でよくあるトラブルは、処理漏れです。以下の点を毎期チェックする運用にしておくと安全です。
| 確認項目 | 確認方法 | 放置した場合の影響 |
|---|---|---|
| 未決済の指図がないか | KOB1、決済ログ | 原価が帰属先に振り替わらず、指図に滞留する |
| ダミー利益センタの残高 | 利益センタ別レポート | 利益センタ別損益が不正確になる |
| 配賦後の原価センタ残高 | 原価センタ別実績報告書 | 配賦されずに残った原価が製品原価に反映されない |
| 仕掛品の妥当性 | KKAO結果一覧 | 貸借対照表の仕掛品残高が誤る |
FIとの整合確認
ECCでは、FIとCOのデータが別テーブルであったため、両者の整合を確認する作業が必要でした。KALCによる調整転記や、整合性チェックのレポートが用意されていました。
S/4HANAでは、ユニバーサルジャーナルによってFIとCOが同一のデータを共有するため、この突合作業そのものが不要になりました。会社コードをまたぐ配賦を行った場合の会社間転記のみ、引き続き注意が必要な領域です。