内部指図(Internal Order)は、特定の目的やイベント単位で原価を集計するための入れ物です。原価センタが「継続的に存在する組織」に対応するのに対し、内部指図は「始まりと終わりがある活動」に対応します。
どういうときに使うのか
原価センタだけでは把握しきれない切り口が必要になったときに使います。
| 用途 | 例 | 知りたいこと |
|---|---|---|
| イベント原価の集計 | 展示会、キャンペーン | この催しに総額いくらかかったか |
| 研究開発費の管理 | テーマ別のR&D | このテーマにいくら投じたか |
| 修繕・保全費の管理 | 設備の大規模修繕 | この修繕にいくらかかったか |
| 投資案件の管理 | 設備投資 | 完成までの累積原価。後に資産へ振り替える |
| 部門横断プロジェクト | 業務改善活動 | 複数部門にまたがる費用の合計 |
共通しているのは、複数の部門にまたがる、あるいは期間をまたぐ活動の原価を、まとめて把握したいという要求です。展示会の費用は営業部と広報部の両方から発生しますが、原価センタで見ると部門ごとにばらけてしまいます。内部指図を使えば、部門をまたいで1つの数字にまとめられます。
実指図と統計指図
内部指図には性質の異なる2種類があり、この区別がCOの理解を左右します。
| 観点 | 実指図(Real Order) | 統計指図(Statistical Order) |
|---|---|---|
| 原価の帰属 | 指図が原価を実際に負担する | 指図は情報として原価を記録するだけ |
| 決済 | 必要(他の対象へ振り替える) | 不要(振り替えられない) |
| 同時指定 | 原価センタは統計的にのみ指定可 | 原価センタと同時に実指定できる |
| 使う場面 | 投資案件、後で資産化するもの | 単に分析軸を1つ増やしたい場合 |
重要な原則があります。1つの取引において、原価を実際に負担する対象(実オブジェクト)は1つだけです。実指図を指定した場合、同時に指定した原価センタは統計的な記録にとどまります。逆に、統計指図であれば原価センタが実オブジェクトとなり、指図は分析用の情報として並行して記録されます。
指図タイプ
内部指図の性質は指図タイプで制御します。指図タイプは、番号範囲、実指図か統計指図か、決済プロファイル、予算管理の要否、画面レイアウトなどを規定します。
用途ごとに指図タイプを分けておくのが基本です。「展示会用」「設備投資用」「R&D用」といった具合に分けることで、レポートでの絞り込みも容易になります。
決済(Settlement)
実指図に集まった原価は、最終的にどこかへ振り替えなければなりません。この処理が決済です。内部指図は原価をいったん受け止める中継地点であり、そこに原価を置いたままにするのが目的ではないためです。
| 決済先 | 使う場面 |
|---|---|
| 原価センタ | イベント費用を主管部門の費用として確定させる |
| 固定資産 | 投資案件の累積原価を資産計上する |
| 総勘定元帳勘定 | 特定の費用勘定へ振り替える |
| 収益性セグメント(CO-PA) | 販促費を対象製品の収益性に反映させる |
| 他の内部指図 | 大きな指図へ集約する |
決済のルールは、決済プロファイルと決済ルールで定義します。決済プロファイルは指図タイプに設定され、どこへ決済してよいかを制限します。決済ルールは指図ごとに設定し、実際の振替先と配分比率を指定します。決済の実行はKO88(単一)またはKO8G(一括)です。