製品原価管理(CO-PC)は、製品1個をつくるのにいくらかかるのかを計算し、実績と比較する領域です。COの中でも最も他モジュールとの関わりが深く、PPやMMの設定が正しくなければ機能しません。
標準原価と実際原価
製品原価には2つの見方があります。
| 種類 | 意味 | 用途 |
|---|---|---|
| 標準原価 | 事前に見積もった、あるべき原価 | 在庫評価、売上原価の計上、差異分析の基準 |
| 実際原価 | 実際に発生した原価 | 標準との差異を把握し、原因を分析する |
多くの企業は標準原価で在庫を評価します。実際原価は日々変動するため、それで在庫を評価すると数値が安定しないためです。標準を基準として置き、実際との差を差異として分析するのが標準的な考え方です。
標準原価はどう積み上がるか
標準原価の計算(原価積上、Cost Rollup)には、3つのマスタが必要です。
- 部品表(BOM):その製品をつくるのにどの部品が何個必要かを定義します。材料費の計算根拠になります。
- 作業手順(Routing):どの作業場所で、どの作業を、何分行うかを定義します。加工費の計算根拠になります。
- 活動単価:作業場所に紐づく原価センタの、活動タイプごとの単価です。
これらを組み合わせて、材料費(BOMの部品 × 各部品の単価)と加工費(作業手順の時間 × 活動単価)を積み上げ、さらに間接費を上乗せして製品原価が求まります。
原価コンポーネント構造
積み上がった原価は、単なる合計額ではなく、内訳を保った形で保持されます。この内訳の枠組みが原価コンポーネント構造です。
| コンポーネント | 含まれる原価 |
|---|---|
| 原材料費 | 直接材料の購入価格 |
| 直接労務費 | 製造作業者の作業時間 × 労務単価 |
| 機械費 | 機械稼働時間 × 機械単価 |
| 製造間接費 | 製造部門の間接費配賦額 |
| 外注加工費 | 社外に委託した加工の費用 |
内訳が保たれることの価値は、多段階の製品で発揮されます。完成品の原価を見たとき、そのうち何割が原材料費で何割が加工費かが、中間製品を何段階経ていても分解して見えます。
原価計算の実行手順
| 順序 | 処理 | Tコード | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 原価見積の作成 | CK11N | BOMと作業手順を展開して原価を計算 |
| 2 | 結果の確認 | CK13N | 内訳を確認し、妥当性を検証 |
| 3 | マーク | CK24 | 将来の標準原価として印を付ける |
| 4 | リリース | CK24 | 品目マスタの標準原価を更新し、有効化 |
製造指図での実際原価
実際の製造では、製造指図が原価の集計単位になります。指図には、投入した材料の実際価格と実際数量、実際に要した作業時間に活動単価を掛けた金額が集まります。
一方、完成品を入庫すると、標準原価で在庫が計上されます。つまり指図の借方には実際原価が、貸方には標準原価が立ちます。この差額が製造差異であり、期末に分析して処理します。差異の内訳については「差異分析」のセクションで扱います。
原価計算バリアント
原価計算の細かい挙動を制御するのが原価計算バリアントです。どの価格を材料単価として使うか、どのBOMと作業手順を選ぶか、間接費をどう上乗せするかといった設定をまとめたものです。
評価バリアント、数量構造管理、日付管理といった下位の設定から構成されます。「同じ製品なのに計算結果が違う」という場合、多くは原価計算バリアントの違いが原因です。