原価センタ(Cost Center)は、COで最も基本的な原価の受け皿です。「どこで原価が発生したか」を表す単位であり、多くの場合は組織上の部署に対応させます。
原価センタとは何を表すか
原価センタは「責任の所在」を表す単位です。総務部で発生した経費は総務部の原価センタに、製造ラインで発生した経費はそのラインの原価センタに集計されます。誰がその原価に責任を持つのかが明確になるよう設計します。
原価センタマスタには、名称のほかに責任者、有効期間、原価センタタイプ、所属する会社コードと利益センタなどを登録します。作成はKS01、変更はKS02、照会はKS03です。
| タイプ | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 製造 | 直接製造に関わる部門 | 組立ライン、加工課 |
| 補助 | 製造を支援する部門 | 設備保全、品質管理 |
| 管理 | 間接部門 | 総務、経理、人事 |
| 販売 | 販売活動を行う部門 | 営業所、販売促進 |
標準階層(Standard Hierarchy)
すべての原価センタは、標準階層と呼ばれるツリー構造のどこかに属します。標準階層は管理領域ごとに1つだけ存在し、すべての原価センタを漏れなく含みます。
階層は組織構造を反映させるのが一般的です。会社全体をルートとし、その下に本部、部、課といった階層を作り、末端に個々の原価センタをぶら下げます。レポートで「製造本部全体の原価」を見たいとき、この階層が集計単位になります。
原価はどう集まるか
原価センタに原価が集まる経路は主に3つです。
- FIからの転記:費用勘定に転記する際に原価センタを指定すると、その金額がCOに流れます。最も基本的な経路です。
- MMからの転記:資材を出庫する際に、消費先として原価センタを指定します。
- CO内部の配賦:他の原価センタから振り替えられた原価です。後述します。
配賦と分配の違い
間接部門で発生した原価を、それを利用した部門へ振り替える処理を期末に行います。この振替には2つの方式があり、実務でよく混同されます。
| 観点 | 分配(Distribution) | 配賦(Assessment) |
|---|---|---|
| 使用する原価要素 | 元の一次原価要素のまま | 二次原価要素にまとめる |
| 原価の内訳 | 費目別の内訳が保たれる | 内訳が失われ、1本にまとまる |
| 受入側での見え方 | 「電気代」「消耗品費」など元の費目 | 「共通費配賦」のような集約された名称 |
| Tコード | KSV5 | KSU5 |
| 向いている用途 | 費目別の分析を残したい場合 | 内訳が不要で処理を軽くしたい場合 |
分配は元の費目を保つため、受入側でも「この原価のうち電気代はいくらか」を追跡できます。一方、配賦は複数の費目を1つの二次原価要素にまとめるため、情報は失われますが処理は軽くなります。
配賦基準(Tracing Factor)
どの部門にいくら振り替えるかを決めるのが配賦基準です。サイクル/セグメントという単位で定義し、振替元・振替先・按分の基準を設定します。
- 固定比率:あらかじめ決めた割合で按分する。総務費を人数比で配分するなど、比率が安定している場合に。
- 固定金額:金額を直接指定する。
- 統計キー数値(SKF):面積、従業員数、電力使用量といった実数値にもとづいて按分する。実態に即した配分ができる。
- 受入側の実績:受入部門で発生した特定の原価に比例させる。
統計キー数値は、KB31Nで期間ごとに入力します。従業員数のように毎期あまり変わらない数値は、固定値として登録し自動的に繰り越すこともできます。