SAPシステムは定期的な更新が必要です。バグ修正、法改正対応、セキュリティ修正、機能追加といった理由があり、それぞれ適用する手段が異なります。
3つの更新手段
| 種類 | 対象 | 適用ツール | 規模 |
|---|---|---|---|
| SAP Note | 個別の修正 | SNOTE | 小。1件の問題への対応 |
| サポートパッケージ | ABAP層の修正の集合 | SPAM | 中。多数のNoteをまとめたもの |
| カーネル | 実行基盤(実行ファイル) | OSコマンド | 中。SAPの実行環境そのもの |
| エンハンスメントパッケージ | 機能追加 | SAINT / SUM | 大。新機能の導入 |
| バージョンアップ | リリース全体 | SUM | 最大。プロジェクト規模 |
SAP Note
SAP Noteは、個別の問題に対する情報と修正です。SAPサポートポータルで公開され、番号で管理されています。
Noteには、情報提供のみのものと、プログラム修正を含むものがあります。修正を含むNoteは、SNOTEトランザクションで自動的に適用できます。
| 順序 | 処理 |
|---|---|
| 1 | Noteをダウンロード(SNOTEから、またはファイル取込) |
| 2 | 前提条件の確認(他のNoteが必要な場合がある) |
| 3 | 適用(Implement) |
| 4 | 手動作業の実施(Noteに記載された手順) |
| 5 | テスト |
| 6 | トランスポートで他システムへ移送 |
サポートパッケージ
サポートパッケージ(SP)は、多数のNoteをまとめたものです。SPAMトランザクションで適用します。
適用は段階的に進み、各段階でエラーが発生する可能性があります。特に重要なのが、モディフィケーション調整です。
| Tコード | 対象 |
|---|---|
| SPAU | リポジトリオブジェクト(プログラム、画面など) |
| SPDD | ディクショナリオブジェクト(テーブル、データ要素) |
カーネル更新
カーネルは、SAPシステムの実行基盤となるプログラム群(実行ファイル)です。ABAPコードではないため、SPAMではなくOSレベルで置き換えます。
| 順序 | 処理 |
|---|---|
| 1 | SAPシステムを停止 |
| 2 | 現行カーネルをバックアップ |
| 3 | 新カーネルを展開 |
| 4 | 権限設定(saprootによるsaproot.sh実行など) |
| 5 | SAPシステムを起動 |
| 6 | バージョン確認(disp+work -V) |
適用計画の立て方
更新作業は、必ず開発システムから順に適用し、テストを経て本番に反映します。
| 順序 | システム | 実施内容 |
|---|---|---|
| 1 | サンドボックス(あれば) | 適用手順の確認、所要時間の測定 |
| 2 | 開発(DEV) | 適用、モディフィケーション調整 |
| 3 | 品質保証(QAS) | 適用、業務テスト |
| 4 | 本番(PRD) | 適用(計画停止時間内に) |
メンテナンス計画
SAPは、Maintenance Plannerというツールで、適用すべきパッケージの組み合わせを計算します。バージョン間の依存関係が複雑なため、手動で選定するのは現実的ではありません。
Maintenance Plannerで生成したスタックXMLをSUM(Software Update Manager)に読み込ませることで、適切な順序と構成で更新が実行されます。