印刷は、地味ながらトラブルの多い領域です。請求書や納品書が出ないという問題は、業務を直接止めるため、Basis担当者が対応を求められる場面は少なくありません。
スプールの仕組み
SAPの印刷は、2段階で行われます。まず出力内容がスプール要求として保存され、次にそれが出力要求としてプリンタへ送られます。
| 段階 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| スプール要求 | 出力データをシステム内に保存 | SP01で内容を表示できる |
| 出力要求 | スプールをプリンタへ送信 | SP01でステータスを確認 |
この2段階に分かれているため、「スプールは生成されたがプリンタに出ない」という状態が発生します。この場合、問題はプリンタ側またはネットワークにあります。逆にスプール自体が作られていなければ、プログラムか設定の問題です。
出力デバイスの設定(SPAD)
プリンタは、SPADで出力デバイスとして登録します。主な設定項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デバイス名 | SAP内での識別名(4桁が一般的) |
| デバイスタイプ | プリンタの機種に対応した制御データ |
| スプールサーバ | この出力を処理するサーバ |
| アクセス方式 | プリンタへの送信方法 |
| ホスト名/プリンタ名 | ネットワーク上の宛先 |
| 方式 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| L | ローカル印刷(サーバ経由) | SAPサーバからOSのプリンタへ |
| C | ローカル印刷(直接) | Windowsの共有プリンタ |
| U | Berkeley protocol(リモート) | LPD経由。UNIX系で一般的 |
| S | SAPプロトコル(リモート) | SAPLPD経由。旧方式 |
| F | フロントエンド印刷 | ユーザーのPCのプリンタへ |
| G | HTTPによる印刷 | Webサーバ経由 |
デバイスタイプ
デバイスタイプは、プリンタの制御言語とフォント情報を定義したものです。適切なタイプを選ばないと、文字化けやレイアウト崩れが発生します。
| タイプ | 内容 |
|---|---|
| SAPWIN | Windowsプリンタ汎用 |
| HPLJ4 | HP LaserJet系 |
| POST2 | PostScript |
| PDF1 / PDFUC | PDF出力 |
| JPCASC / JPBIG5 | 日本語・中国語向け |
スプールの管理
スプール要求は、放置すると溜まり続けます。スプール番号には上限があるため、定期的な削除が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保存期間 | スプール要求ごとに設定。既定は8日 |
| 自動削除 | RSPO0041(古いスプールの削除)を定期実行 |
| 整合性チェック | RSPO1043で不整合なスプールを検出 |
| 番号の上限 | 既定で32,000。RZ10のパラメータで拡張可能 |
印刷トラブルの切り分け
| 症状 | 確認すべき点 |
|---|---|
| スプールが作られない | プログラムの出力設定、ユーザーの既定プリンタ |
| スプールはあるが出力されない | 出力デバイス設定、ネットワーク、プリンタ本体 |
| 文字化けする | デバイスタイプ、フォント設定 |
| レイアウトが崩れる | フォーマット(用紙サイズ)、フォームの定義 |
| 一部のユーザーだけ出ない | ユーザーマスタの既定値タブ、権限 |