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全体像

F110でDMEが出ないとき

支払実行(F110)を流したのに支払媒体(DME)が作られない、支払媒体プログラムが「レコードがありません」で終わる。そんなときに、REGUH・REGUPと設定を順に確認して原因を切り分ける方法をまとめました。


支払実行(F110)は、支払う明細を選んで、支払伝票を転記し、銀行に渡すデータ(支払媒体)を作るところまでを一続きで行う機能です。日本国内の振込では、全銀フォーマットのデータを作る支払媒体プログラムを使います。

この一続きのどこかが欠けると、「実行は終わったのにファイルが無い」「支払媒体プログラムがレコードがありませんで終わる」といった状態になります。原因を探すときは、処理の順番どおりに前から確認するのが確実です。

F110の処理は3段階に分かれている

F110の3段階
段階すること結果が残る場所
提案支払う明細を選ぶ。支払方法・銀行を決める提案リストと例外リスト
支払実行支払伝票を転記する支払データのテーブル(REGUH・REGUP)と会計伝票
支払媒体の作成銀行に渡すデータや帳票を作るDMEファイル、スプール

ファイルが出ないとき、原因が3段階目にあるとは限りません。1段階目で対象が1件も選ばれていなければ、2段階目も3段階目も何も作れないからです。まず「どこまで進んだか」を確定させます。

1. 支払実行がデータを作ったかを確認する

最初に見るのは、支払実行の結果が保存されるテーブルです。SAPは処理の結果をテーブルに書き込むので、画面に何も出なくてもテーブルを直接見れば「作られたのか、作られていないのか」がはっきりします。支払実行の結果は次の2つのテーブルに入ります。

支払実行が書き込むテーブル
テーブル入っているもの
REGUH支払1件ごとのヘッダ。誰にいくら支払うか、支払方法、支払う側の銀行(ハウスバンク)
REGUPその支払に含まれる明細。どの請求書を支払ったか

この2つを見るには、実行したときの「実行日」と「識別子」が必要です。F110では、この2つの組み合わせが1回の実行を表す鍵になっていて、テーブル上では実行日がLAUFD、識別子がLAUFIという項目名で入っています。SE16N(テーブルの中身を表示する機能)でこの2項目を指定して検索します。

検索結果判断
支払データ(REGUH)が0件支払対象が選ばれていない。原因は提案の段階(1段階目)
支払データはあるが、ファイルが無い支払伝票までは作られている。原因は支払媒体の段階(3段階目)

2. 対象が選ばれない場合:例外リストを読む

支払データが0件なら、提案の段階で明細が外れています。F110の例外リストには、外れた明細と理由が表示されます。設定の抜けを探して回るより、まず理由を読むほうが確実です。よくある理由は次のとおりです。

  • 取引先マスタに支払方法が入っていない、または伝票の支払方法と合わない
  • 取引先の銀行口座(振込先)が登録されていない
  • 支払方法が、その国・その会社コードで使えるように設定されていない
  • 支払う側の銀行(ハウスバンク)が銀行選定で決まらない。使用可能額が不足している
  • 支払期日が、実行パラメータの「次回実行日」より先になっている
  • 金額が支払方法の最小金額・最大金額の範囲外

支払プログラムの設定はFBZPにまとまっていて、全社共通の設定、支払を行う会社コード、国別の支払方法、会社コード別の支払方法、銀行選定などに分かれています。例外リストの理由を読んでから、対応する箇所だけを開くようにすると迷いません。

3. ファイルが出ない場合:印刷/データ媒体の変数を見る

支払伝票は作られているのにファイルが無い、という場合に見落としやすいのが、F110の「印刷/データ媒体」タブの変数(バリアント)です。支払媒体プログラムは、ここで登録した変数の条件で動きます。変数が未登録だったり、変数の選択条件(会社コード、支払方法、ハウスバンク)が実際の支払データと違っていたりすると、プログラムは動いても対象0件で終わります。

  1. 支払方法に対して、使う支払媒体プログラム(または媒体フォーマット)が設定されているか
  2. その支払媒体プログラムの変数が登録されているか
  3. 変数の選択条件が、REGUHにある会社コード・支払方法・ハウスバンクと一致しているか
  4. ファイルの出力先(サーバのパスか、ダウンロードか)が意図どおりか

検証環境でも一通り試せる

支払実行から支払媒体の作成までは、開発機・検証機でも一通り動かせます。実際に振り込まれるわけではないので、取引先マスタの銀行口座を登録し、請求書を1件転記して、F110を流してみるのが理解への近道です。私はこの流れを自分で通してみて、ようやくREGUHとREGUPが何を保持しているのかが腹落ちしました。

まとめると、確認の順序は「支払実行のデータ(REGUH)が何件あるか → 0件なら例外リスト → 件数があるなら印刷/データ媒体の変数」です。段階を飛ばして設定を触り始めると、直したつもりで別の段階を壊すことがあるので、前から順に見るのが結局いちばん早く終わります。

この記事に出てきた名前

名前種類何のためのもの
F110トランザクション支払実行。支払う明細を選び、支払伝票を転記し、支払媒体を作る
FBZPトランザクション支払プログラムの設定をまとめた画面。支払方法や銀行選定を設定する
REGUHテーブル支払実行が作る支払のヘッダ。誰にいくら、どの支払方法で
REGUPテーブル支払実行が作る支払の明細。どの請求書を支払ったか
LAUFD/LAUFIテーブルの項目実行日と識別子。この2つの組み合わせが1回の支払実行を表す
SE16Nトランザクションテーブルの中身を検索・表示する
SP01/SP02トランザクション印刷やファイル出力の要求(スプール)を確認する。SP02は自分の要求のみ
RFFOJP_Tプログラム日本の国内振込用の支払媒体を作る。全銀フォーマットのデータと銀行手数料の転記

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