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用語解説

CK24のマーク許可エラー

CK24で標準原価をマークしようとして「権限がありません」と出ても、原因がユーザの権限とは限りません。会社コードと期間に対して発行する「マーク許可」が実体で、実際に発行したら通りました。その後に出るMM期間のエラーもあわせて解説します。


品目の標準原価は、原価積上で計算しただけでは品目マスタの標準原価になりません。「マーク」で将来の計画価格として登録し、「リリース」で標準原価として有効にする、という2段階を踏みます。この2段階があるおかげで、期の途中で計算しておいて、期の切り替わりで切り替える、という運用ができます。

マークとリリースの違い
操作すること品目マスタへの反映
マーク計算した原価を、将来の標準原価の候補として登録する将来の計画価格として入る。標準原価はまだ変わらない
リリースマークした原価を有効にするその期間の標準原価になり、以降の評価に使われる

検証環境でこの流れを試すと、計算そのものより手前や後ろでエラーになることが多く、原因が「権限」と「期間」に集中しました。

「権限がありません」の正体はマーク許可

マーク時に出たエラー
期間 007/2026 会社コード 3220 ではマークを行う権限がありません

この文面を読むと、ユーザのロールに権限が足りないように見えます。ところが、私の環境ではロールには手を付けていません。CK24で「マーク許可」を発行したら、そのまま通りました。

マーク許可は、会社コードと期間(会計年度と期間)に対して「この原価計算バリアント・評価ビューの積上結果を、将来標準原価として書き込んでよい」と決めるものです。ユーザに与える権限ではなく、運用の中で発行する組織的な手段として位置づけられています。日本語のメッセージが「権限がありません」となっているために、ロールの問題と誤解しやすいところです。

似ているが別のもの
マーク許可ユーザの権限
何に対して設定するか会社コードと期間ユーザ(ロール)
どこで設定するかCK24の組織的手段(CK40Nの積上実行からも発行できる)PFCGでロールに権限オブジェクトを追加
決めることその期間にマークしてよい原価計算バリアントと評価ビュー誰がマーク・リリース・マーク許可の発行を行えるか
毎期の作業か期間ごとに発行が必要一度設定すれば変わらない

なお、原価計算のマーク・リリースに関する権限オブジェクト(K_FVMK)自体は存在します。こちらは「誰がマークやリリース、マーク許可の発行を行えるか」を会社コード単位で制御するものです。マーク許可を発行しようとした操作そのものが弾かれる場合は、権限側を見ることになります。メッセージの本文は似ていますが、メッセージ番号は別なので、ステータスバーのメッセージをダブルクリックして番号を控えると切り分けられます。

マークは通ったのに進まない:MM期間を見る

マークの後に出たエラー例
会社コード 3220 期末処理はまだ実行されていません

標準原価は在庫の評価に使われるため、MM(在庫管理)側の期間と連動しています。MM期間が過去の期のままだと、未来の期間に対してマークやリリースをしようとしても受け付けられません。私の環境では、対象にしていた期間に対してMM期間が大きく遅れていて、「マークが遅すぎます」という趣旨のメッセージも出ました。

  • MMRV:いま開いている期間と、前期への転記が許可されているかを確認する
  • MMPV:MM期間を次の期間に進める(期間の繰越)

検証環境では、誰も期間を進めていないために何か月も前の期間のままになっていることがあります。CO側の設定を疑う前に、MM期間を見るだけで解決する場合があります。

CK40Nで積上を流すときのつまずき

症状見るところ
原価積上の実行IDが重複していると言われる同じIDの原価積上がすでに存在する。別のIDを付けるか、既存の実行を開いて続きから進める
「計画日が過去日」と言われる原価積上のパラメータで指定する日付。原価計算日・評価日・計画日の組み合わせが、対象の期間と整合しているかを確認する
対象品目が選択されない選択条件(プラント、品目)のほか、品目マスタの原価計算ビューやBOM・作業手順が存在するか

この件から学んだこと

いちばんの教訓は、「権限がありません」という文面を、そのままユーザ権限の話だと受け取らないことです。今回は、ロールを調べる方向に進んでいたら遠回りになっていました。SAPのメッセージは、業務上の「許可されていない」という意味でも「権限」という言葉を使います。

もう1つは、エラーが変わったら前に進んでいる、ということです。マーク許可を発行したらメッセージがMM期間の話に変わりました。同じ画面で止まっていても、メッセージが変われば別の原因に移っています。エラーの文面を都度メモしておくと、この変化に気づけます。

権限・設定・データのどれが原因かを見分ける考え方は、こちらでまとめています。SAPのエラーを3種類に分けて切り分ける

この記事に出てきた名前

名前種類何のためのもの
CK40Nトランザクション原価積上の実行。複数の品目をまとめて計算し、マーク・リリースまで行える
CK24トランザクション標準原価のマークとリリース。マーク許可の発行もここから行う
マーク許可運用上の手続き会社コードと期間に対して、マークしてよい原価計算バリアント・評価ビューを決める。ユーザ権限ではない
K_FVMK権限オブジェクト誰がマーク・リリース・マーク許可の発行を行えるかを会社コード単位で制御する
PFCGトランザクションロールを保守する。ユーザの権限を追加・変更する
SU53トランザクション最後に失敗した権限チェックを表示する
STAUTHTRACEトランザクション実際にチェックされた権限を記録して確認する(権限トレース)
MMRVトランザクションMM(在庫管理)でいま開いている期間を確認する
MMPVトランザクションMMの期間を次に進める(期間の繰越)
CS03トランザクションBOM(部品表)を表示する

わからない用語は SAP用語辞典 で調べられます。