S/4HANAでは、得意先・仕入先のマスタをBP(ビジネスパートナ)から登録します。BPを保存したときに得意先マスタ・仕入先マスタも一緒に作られる仕組みがCVI(Customer/Vendor Integration、得意先・仕入先統合)です。この連携の設定が欠けていると、BPの入力自体は進むのに、保存の段階で止まります。
グルーピング 0001 は得意先勘定グループに割り当てられていませんこのメッセージは「BP側のグルーピングに対応する得意先勘定グループが決まらないので、得意先マスタを作れない」という意味です。原因は1つではなく、割当そのものが無い場合と、割当はあるが番号範囲が噛み合っていない場合があります。以下の順に確認すると早く切り分けられます。
1. BPグルーピングと勘定グループの割当を見る
最初に見るのは、BPグルーピングと得意先勘定グループの対応表です。この対応は、カスタマイジングビューと呼ばれる設定用の一覧に登録されています。得意先向けの一覧の名前がV_TBD001、仕入先向けがV_TBC001です。SPROのメニューからたどってもよいですが、SM30(設定用の一覧を名前を指定して開く機能)にビュー名を入れたほうが早く着きます。
| 対象 | ビュー | 登録する内容 |
|---|---|---|
| 得意先 | V_TBD001 | BPグルーピング → 得意先勘定グループ |
| 仕入先 | V_TBC001 | BPグルーピング → 仕入先勘定グループ |
2. 番号範囲が存在するかを見る
割当があるのに直らないときは、番号範囲を疑います。私が詰まったのは、得意先勘定グループ側に番号範囲が割り当てられているのに、XDN1(得意先の番号範囲)にその番号範囲が存在しない、という状態でした。「割当先が存在しない割当」が残っていたわけです。
| トランザクション | 何の番号範囲か |
|---|---|
| XDN1 | 得意先の番号範囲 |
| XKN1 | 仕入先の番号範囲 |
| BUCF | BPの番号範囲。ここでBPグルーピングへの割当も行う |
ここで大事なのは、確認する順番が「勘定グループ → 割り当てられている番号範囲 → その番号範囲の実体」になることです。勘定グループの設定画面だけを見ていると、番号範囲の実体が無いことに気づけません。
3. BP側と得意先側の番号範囲の整合を見る
番号範囲を追加しても直らない場合、次に見るのはBPグルーピングの番号範囲と得意先勘定グループの番号範囲の関係です。BPと得意先で同じ番号を使う運用にするなら、BP側の番号範囲を外部採番にしたうえで、グルーピングと勘定グループの割当で「同一番号」のフラグを立てます。この前提が崩れていると、「番号範囲が異なります」といったメッセージに変わります。
| やりたいこと | BP側 | 得意先側 | 割当 |
|---|---|---|---|
| BPと得意先で同じ番号を使う | 番号範囲を外部採番にする | 内部採番で番号を払い出す | 「同一番号」を立てる |
| BPと得意先で別の番号を使う | 内部採番 | 内部採番 | 「同一番号」は立てない |
4. 既存データの不整合を疑う
設定を一通り直しても特定のBPだけ保存できない場合は、データ側の不整合の可能性があります。S/4HANAへの移行プロジェクトでは、移行前の得意先・仕入先データがCVIの前提を満たしているかを事前にチェックする仕組み(CVI_PRECHKなど)が用意されています。BPと得意先の対応関係はリンクテーブルに保持されるので、SE16Nでそのリンクを確認すると、どちらか片方しか無いといった状態を見つけられます。
まとめ:確認の順序
- グルーピングと勘定グループの割当(V_TBD001/V_TBC001)
- 勘定グループに割り当てられている番号範囲が、XDN1/XKN1に実在するか
- BP側の番号範囲(BUCF)と得意先側の番号範囲の整合、同一番号フラグ
- 特定のBPだけで起きるなら、既存データ側の不整合
CVIは「BPを保存したら得意先ができる」という一見単純な機能ですが、設定がBP側・得意先側・その割当の3か所に分かれています。エラーが指しているのは割当の1か所だけなので、直らないときは隣の設定に順に移っていくのが結局いちばん早い、というのが実際に触ってみた感想です。
この記事に出てきた名前
| 名前 | 種類 | 何のためのもの |
|---|---|---|
| BP | マスタ | ビジネスパートナ。得意先・仕入先を1つのマスタで管理する仕組み |
| CVI | 仕組みの名前 | BPと得意先・仕入先マスタを同期させる仕組み |
| グルーピング | BPの区分 | BPの種類分け。どの番号範囲を使うかが決まる |
| 勘定グループ | 得意先・仕入先の区分 | 得意先・仕入先の種類分け。番号範囲や画面項目の必須・任意が決まる |
| V_TBD001/V_TBC001 | 設定用の一覧(ビュー) | グルーピングと勘定グループの対応を登録する。得意先/仕入先 |
| XDN1/XKN1 | トランザクション | 得意先/仕入先の番号範囲を定義する |
| BUCF | トランザクション | BPの番号範囲を定義し、グルーピングに割り当てる |
| SM30 | トランザクション | 設定用の一覧を、名前を指定して開く |
| SE16N | トランザクション | テーブルの中身を検索・表示する |